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心臓くれませんか?(伝勇伝・リーライ)

2012/04/13 00:01

「心臓くれませんか?」

なに言ってんのコイツ、とライナは思った。1つ上の先輩にコイツなんて言ったら色々面倒なことになりかねないから、まあ、心のなかで思うだけにとどめはしたけれど。
で、何なんだ。心臓って。

「俺あんたに金借りてたっけ」
「いいえ。何故ですか?」
「いや、金返せないなら内臓売って作れってことかと……え、心臓?」

死ぬよな。あげたら。

「殺し文句と聞きましたが」
「殺し文句?殺されるの?」

リーレはううんと唸りながら、ライナの顔を見る。

「ではこうしましょう」
「はあ」
「私の心臓をあなたに差しあげます」
「えっいらな」


いらない、と言おうと思ったのに、リーレの顔を見たら言えなくなった。

「私の命を、生きる意味を、あなたに差し上げます」



そう言って、ライナの手の甲に口付けるリーレは、まるで王子のようで。





「……最初っからそう言えよな」
「すみません」

後には真っ赤になった二人がいた。







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