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希望なんてないとその猫は言いました(伝勇伝・リーライ)

2012/04/12 23:23

※ライナ不在
※たぶんルシルとリーレ



「この世界には希望なんてどこにもない。絶望だけがあふれているのさ」

そう、猫は目を細めて笑うのです。
それを聞いて、青年は『彼』のことを思い出しました。
人間に誰よりも忌み嫌われているのに、誰よりも人間を愛している『彼』を。誰よりも人間に絶望しているのに、人間に希望を抱かずにはいられない『彼』を。

「そうでしょうか」

『彼』は教えてくれましたから。

「どちらか片方で満たされた世界なんて、あるのでしょうか?」

絶望はどこにでも生まれます。希望で満たされていたとしても、そっと隙間から入り込む。だから絶望のない世界なんてない。
でも、それはそのまま逆を証明していて。
どんなに絶望に包まれた世界にも、希望は生まれるということ。

「そうだね、だから人間は面白いのかもしれないね」

猫はまた笑いました。
そして、闇にとけるように消えました。
残された青年はまた『彼』のことを思い浮かべました。
『彼』の周りが絶望でしかないのなら、自分が『彼』の希望になりたいと。







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