03/16 ( 15:02 )
明高
K田一少年の事件簿/警視×傀儡師
「せつなくなりたいんです」
明智さんに触ってると、触れてるところがせつなくて仕方がないんですよ。高遠は笑った。明智は笑えなかった。切なくなるような、そんな感情をこの男に抱かれている。触れていたいと、自分も望んでいるのに、どうしてこうもうまく伝わらないのだろうか。
「明智さん、すきです」
ぎゅ、と触れていた手が絡める形に変わった。柔らかく握り返すと、見開かれた目がこちらを向いた。
「明智さん、」
その先が聞きたくなくて、思わずキスをした。なにをしても抵抗しないことが癇に障って、舌を絡めた。喉の奥からくぐもった喘ぎ声が聞こえたが、果たしてそれが明智のものか高遠のものか、明智はだんだんわからなくなっていた。
「……せつない、ですか」
「せつないです。叶わないのに、叶わないのに……」
なんでこんなことを、と口だけでいう高遠がなんだか急に愛しくなって、手を離して抱きしめた。
「……明智、さん……ねぇ」
全身がせつない。こんな関係を望んでいたはずではないのに、全身がせつない。高遠も今こんな感情なのだろうか。そうだとしたら、先程の行為がなんだか申し訳なく思えてきて、明智は「責任を取ります」と言った。
「なんの、」
「恋を、させてしまった責任です」
一生をかけて、貴方にせつなさの代償を払います。
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