heart was breaking!



 にへら、と幸せいっぱいの表情を浮かべる義兄の姿に、サリマンは頬を引き攣らせました。
 ハウルにしては素直に王宮に来たと思ったら、終始にやにやへらへらと笑って、サリマンにくっついてくるのです。
 サリマンはハウルの気持ちが痛いほどわかりました。なぜなら、自分も同じだからです。でも、自分はここまでひどくありませんでした。
 ソフィーには悪いのですが、サリマンはハウルの気持ち悪いほどにやけた顔を見るよりも、愛するレティーの笑顔を見たほうが何倍も幸せです。
「ハウル、気持ち悪いぞ。せめて、そのにやけた面をもとに戻せ」
「何言ってんだい、サリマン。失礼だね。ぼくの奥さんが妊娠したんだよ? これがにやけずにいられるわけないじゃないか」
「それはわかってる。レティーも妊娠したんだ」
「へえ! それは知らなかった! どうして知らせてくれなかったんだい?」
「今日仕事が終わったら、知らせに行く予定だったんだ」
「馬鹿だなぁ、そんな日に仕事だなんて! さあ、いまから行こう!」
「馬鹿を言うな! 仕事が……うわっ」
 次の瞬間、サリマンはハウルの魔法にかかっていました。
 身体が勝手に動くのです。
「ハウル!」
 サリマンは怒鳴りましたが、ハウルはどこ吹く風。ハウルはくるりとターンしました。
「仕事なんて、そんなのあとあと! さあ、行こう! ソフィーが待ってる!」
 ハウルとサリマンは、青空の下に飛び出しました。

 ああ、幸せで胸が張り裂けそうだ!



2010.8.16


 
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