さらなる旅路の涯に



「じっとしてる男なんてつまんないもの!」
 そう、そんなのつまんない。
 エドもアルもじっとなんてしていられない。していられないから、あの二人は輝いている。
 エドがじっとしてるような奴だったら、私はきっと好きにならなかった。
『俺の人生半分お前にやるから、お前の人生半分くれ!』
『半分どころか、全部あげるわよ!』
 じゃなきゃ、あんなこと言えないわ。
 8.5。8.5の私をあんたにあげる。残りの1.5は、いつか生まれてくる子どもたちにあげる。
 ね、エド。
 ウィンリィは汽車が去った方向に、優しいまなざしを送る。
「行ってらっしゃい、エド」
 私はまた、あんたを待っている。だから、帰ってきたら聞かせてね。
 あんたが見た、『世界』を。
 あんたが出会った、『世界』を。


 さらなる旅路の涯に、あんたがつかんだものを。


2010.7.4


 
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