もしもがあるのなら、この想いあなたに



 本当はわかっていたの。気づいていたの。
『ルルーシュッ、行っちゃやだぁ!』
『泣かないで、ユフィ。大丈夫だよ、すぐに帰ってこれる』
『本当、に?』
『うん、約束だ』
 彼と離れたくなくて、泣いて彼を困らせた。
 それが彼の優しさから出た言葉だったことも、その約束が決して叶わないことも、本当はわかっていた。
 でも、幼い私はそんなこと絶対に認めたくなくて。彼らは、彼は必ず帰ってくるのだという約束を、信じたくて。
 だから、私は言えなかった。
 あなたに、ルルーシュに。
 愛していますという、ひとことを。
 そうして知らされた、訃報。
 ただ信じられなくて、信じたくなくて、けれど信じなければならなくて。
 ルルーシュとナナリーを想って、一晩中私は泣いた。
 もう、あなたに逢えない。
 もう、あなたに言えない。
 あなたに逢って、大好きだと言うことさえできないの。
 無情にも、時は流れて。
 クロヴィス兄様が、エリア11で亡くなられた。
 殺したのは、ゼロ。ブリタニアに反逆の意を唱える、反逆の徒。
 どうしてクロヴィス兄様を殺したのか、会うことがあったなら絶対に聞こうと思っていた。
 けれど。
「相変わらずだな」
 ああ、どうして。
 神様は、とても残酷だわ。
 まさかこんな形で、再びこの人とまみえるなんて。
 ねえ、ルルーシュ。
 もしもがあったなら、ずっと伝えたかった言葉があるの。
 あなたにたった一度だけでも逢うことが叶ったなら、きっと伝えようと思っていた想いが。
「ルルーシュなのでしょう?」
 だから、ルルーシュ。いま、あなたに伝えるわ。

 ルルーシュ、あなたが好き。
 大好きよ──。



2008.1.21


 
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