×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


最初の最初



草木さえも寝静まり返る丑三つ時。閑散とした住宅地に、突如爆発音が響き渡った。
静かに眠っていた住民たちは一斉に飛び起き、窓を開ける。
そして次の瞬間には、皆して窓を開けたことを後悔するのだ。





真っ暗な街をトップキック、コルベット、フェラーリが疾走する。
道路に並ぶ街灯をボディに反射させながら猛スピードで進む3台は、しばらく進んだ住宅地に入り込んだ。
そしてそのスピードを殺すことなく、住宅地で暴れる2つの金属に向かって突っ込んでいった。


『雑魚はおネンネしてな、ペルファボーレ!』


そのうち、赤いフェラーリがガチャガチャと音を立てて変形する。
両腕のカッターを敵に突きつけ、高笑いしながらなぎ倒していく様はさながら鬼神のようである。


『サイドスワイプ、そっちにもう一体行ったぞ!』

『任せろ、アイアンハイド!』


両腕のブレードを光らせ、立ち去ろうとする敵を追いかけるサイドスワイプ。その後ろでディーノがアイアンハイドと共にもう一体と交戦していた。


『ちょこまかとすばしっこいやつだ』


ザンッと敵の肩口を斬りつけたディーノに応戦するようにキャノンをぶっ放したアイアンハイド。
倒れ込んだディセプティコンに止めを刺そうと腕を振り上げたものの、敵は最後の悪あがきと言わんばかりにディーノに向かって発砲した。
なんとか間一髪で躱した。が、敵が撃った流れ弾は、ディーノの背後にそびえる家に着弾した。


『チッ…くたばれディセプティコン!!』


敵のスパークに深々と突き刺した己のカッター。それを抜きさる頃には、もうディセプティコンの象徴である赤いカメラアイは消え失せていた。


『ふん。……あ?』


不意に、背後の家にカメラアイを向けた。なんの変哲もない、瓦礫と化した人間の住処。けれどその隙間から、わずかに除く白が見えた。
それはもぞもぞと動いた後、ガラガラと音を立てながら瓦礫から這い出てきた。 

なんだ、人間か。
そもそもさっきのでよく生きてられたな。

そう排気したディーノは、視線を逸らそうとする。けれど、その白から覗く赤い瞳と目が合った瞬間、それはできなくなった。

体格的に少女と思われる白色は、赤い目をディーノに向けたまま逸らさない。ディーノもまた、少女から目を逸らすことができなかった。


『ディーノ!何やってんだよ、行くぞ!』

『ッ、あ、ああ…』


追っていた敵を片付けたらしいサイドスワイプが自分を呼ぶ声によってハッと意識を戻したディーノ。
どこからともなく立ち上がる炎。このまま少女を置いていけば、きっとこの火事で焼け死ぬだろう。
ディーノはそのまましゃがみ込み、少女に向かって手を差し伸べた。

人間が嫌いなはずの自分が何故そうしたのかはわからない。ましてやNESTにいる連中たちよりもはるかにひ弱そうな人間にだ。こうしてわざわざ自分が手を差し伸べることなどない。


…なのに。


『死にたくなければ俺と来い』


自分の口は自然と、まるで違和感など感じないようにそう動いた。
少女はぱちり、と、赤い目を瞬かせ、そしてゆっくりとディーノが伸ばす手に触れた。





ーーーーー

拙いところもありますが、どうかお付き合いください。




|