▼ 1:ここからが冒険
小さい頃から何かと変なものを見た。小さかったり大きかったり、人型のようだったり動物のようだったり物だったり。
はっきりとは見えなかったけれど、それらが時折人間にいたずらをしているのは知っていた。
魚良の交差点でも、よく赤い猫を見かけた。
けれど、私は見えないふりをしていた。
なんとなく、彼らが見えているというのを知られてはいけない気がしたから。
話は変わるけれど、私には前世があるみたい。
朧気に記憶の片隅に残る女性と男性、そして小さい双子の男の子。私は高校生くらいで…
あれはきっと私の家族だって、なんとなくそう思った。
そういえば、双子の弟たちは妖怪のゲームが大好きだった気がする。名前なんて覚えてないけど…
まぁ、理由はなんであれこうしてまた生をうけたんだから、今を精一杯生きようと思う。
「ケイちゃん、どうかした?」
「フミちゃん…ううん、なんでもないよ」
「そう?じゃあ一緒に帰ろ!」
「うん!」
ランドセルを背負い、教室のドアのところで待つフミちゃんのもとへ急ぐ。
外はもうすっかり夕暮れだ。
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