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※猪名寺乱太郎成り代わり



保健委員会というのは、怪我や病気の人を親身になって看病するのが仕事である。もちろん包帯や薬草、塗り薬も彼らのために消耗しなければならない。
なので…


「うぅ…いたいです…」
「我慢しろって」


こうして保健委員会である私が包帯塗り薬その他もろもろをあまり使ってはいけない。


「なまえはバカだなー」
「なッ…そ、そもそも誰のせいだと思ってるんですか!!」



なっははは!と消毒液片手に豪快に笑う七松氏。
なんの因果か私は死後、忍たまの主人公である猪名寺乱太郎に成り代わり、あまつさえ上級生の七松小平太と幼馴染みというちょっとあり得ない事態に戸惑ってたりする。まぁ今はどうもないけど…

そもそも不本意ながら不運委員会と呼ばれている保健委員のトイペ補充コースに、塹壕だなんて掘らなければ私が落ちて無様にも怪我をすることはなかったんだ。

傷口にしみる消毒液に悶絶しながら、なぜ今日にかぎって伊作先輩は新野先生と薬草つみに行ってるのかと恨んだ。早く帰ってきて伊作先輩…!


「ほい、できたぞ!」
「…ありがとうございます」


救急箱を片付ける七松先輩を横目に腕に巻かれた包帯を眺めた。…あんないけどんしてるのに意外と器用だな…

ふと目の前に気配を感じ、顔をあげた。


「じー」
「ひッ…」


目と鼻の先に七松先輩の顔があった。
ど、どアップやめい!


「な、なななななんでふかぁッ!!?」
「めっちゃどもってんな」
「先輩近い!近いです…!!」
「まぁまぁちょっとじっとしてろって!」


徐に近づいてきた先輩の手にぎゅっと目を瞑る。
耳あたりに触れたと思ったら、すぐに離れていった。一体何だったのか…


「うん、私はやっぱこっちの方がいいな」
「へ、」


何かに納得したあと私を抱きすくめた七松先輩。驚きに目を開けるも、視界はぼやけていた。え、待って何事…!?


「なまえは眼鏡ないほうが美人だ!」
「な、七松先輩!ふざけてないで離れてください!」
「いーやーだー」


駄々っ子かッ!と喉まで出かかった言葉を飲み込み、七松先輩が持つ眼鏡に手を伸ばした。


「おっと」
「ちょ、何がおっとですか!返して、見えないです!」
「見えなくていいじゃないか」


そして何を思ったか暴君はぐっと私に顔を近付けた。い、一度ならず二度までも…!


「こうすれば、なまえは私だけしか見えなくなる」
「は、」


至近距離にある先輩の目は真剣だった。じわりじわりと顔が熱くなる。なんだこれ、なんだこれ…ッ!


「なぁ、なまえ」
「ぅ…は、はい…?」


「食べてもいいか?」




いいわけないでしょう…!




そのあと、私は帰ってきた伊作先輩に無事救出されたのだった。
もうまともに七松先輩の顔が見れないんですけど…





ーーーーー

この度はキリリクありがとうございましたっ!!
な、七松氏の暴君っぷりを書きたかったのですが、全然暴君じゃなかった…むしろ全てにおいて支離滅裂な文に仕上がった気が…あ…

難しいですね、彼←

こんなものでも、楽しんでいただけれたら幸いです。
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