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▼ 愛梨様よりリクエスト

※土蜘蛛vs大ガマで女郎蜘蛛と大やもり勝者



《さーぁいよいよ始まりました!妖怪による妖怪のための妖怪だけの大運動会!その名も“妖怪大運動会”ー!!》


そのまんまじゃん。喧しく響くアナウンスに白い目を向けながらぼやいた。


「ケイたん、そんな顔せずに楽しみましょうよー!」


両手いっぱいに屋台で購入したと思しき食べ物たちを抱えたウィスパーに内心で舌打ちをしながら頭を抱えた。視界の端にチラつく赤いハチマキが憎くて仕方が無い。
そもそも、なぜ私がこんな妖怪大運動会に参加しているのか。事の発端はそう、ジバニャンの「面白いテレビがあるから一緒にみるニャン!」の一言だった。ウィスパーの私物である妖怪テレビを付け、目的のチャンネルに変えた瞬間私たちはテレビの中に吸い込まれ、今に至るのだ。わけわかんない?私もわかんない。
・・・まぁ、この際流れるままに身を任せてみようか。今まで流れにさからっていい事なんてあった試しがない。


「種目はっと・・・私は大玉転がしかぁ。しかも午後の部。まだまだ先じゃん」


その間はただひたすら応援のみ。応援も大事だってわかってるけど、これはこれできついわぁ・・・。


《最初の種目は“借り物競争”だぁー!!お題は様々!何を借りるかは自分次第!選手入場です!!》


借り物競争かぁ。そう言えば1年生の時私も出たなぁ。あの時はお題が鬼畜すぎたと思う。だって私が引いたの“今日の朝ガムを踏んずけた人”だよ。そんなの知るわけないでしょ。案の定見つかるはずもなく、半べそかきながら知らないお兄さんに手を引かれてゴールしたっけ。あとから聞いた話、あのお兄さん、わざわざ自分でガム踏んずけたらしいんだよね。それ以来借り物競争でわけの分かんないお題がなくなったのだけれど。


《おっとー!最初にお題の紙を取ったのは大ガマ選手と土蜘蛛選手!!同時に中を見た!一体何が書かれていたのか!?》


ふーん、土蜘蛛と大ガマも参加してたんだ。そりゃそうか。いつぞやの妖1グランプリにもオロチとキュウビ出てたもんね。
ジバニャンから貰ったたこ焼きをもちゃもちゃ頬張りながら競技の様子を見る。・・・なんか、あの2人フリーズしてない?


「「・・・・・・・・・」」


2人が無言になって数秒くらいだろうか。不意に2人が顔を見合わせたと思ったら、すっごい勢いでダッシュした。・・・てゆーか、


「ねぇ、ウィスパー」

「なんでふかケイひゃん」

「あの2人、なんかこっち来てない・・・?」


この際ウィスパーが口の中にものを入れたまま喋っているだとか無視しておこう。ズドドドドッと土煙を上げながら猛ダッシュする土蜘蛛と大ガマに戦慄する。ちょ・・・、ちょ・・・!ちょおー!怖い怖いこっち来んなやめろー!!


「「ケイ!!一緒に来てくれ(ぬか)!!」」


こそこそ逃げようとしたが、逃亡は未遂に終わってしまった。土蜘蛛と大ガマは私の手を片方ずつ握るなり、お互いを見やって目を釣り上げた。


「大ガマ、ケイが嫌がってる。離せ」

「へッ、お前こそ離せばいいだろ?しつこい蜘蛛は嫌われるぜ?」

「黙れ」

「まぁまぁまぁまぁ!落ち着いてって!こんなところで喧嘩しないでよ、空気悪くなるじゃん!」

「む・・・」

「よぉーし!ならここは平等にケイに決めてもらおうぜ!それなら文句はねぇだろ?」

「え」

「・・・それもそうだな」

「ち、ちょっと待って・・・」

「ケイ!」

「お主は俺とこいつ、どっちにつく?」


4つの目玉に見つめられてすっごい居心地がわるい。というより、本家と元祖の大将2人に囲まれているせいか、他の選手や観客からの視線がすこぶるいたいんだけど。


「えっと・・・その・・・」

「ケイ、どうなんだ?」

「もちろん俺だよな?」

「違う俺だ」

「何言ってんだよ、ケイは本家に来るべきだ!」

「元祖にこそ相応しいと言うのがなぜわからん!」


・・・あの、段々趣旨がズレて来てますけど。土蜘蛛と大ガマが喧嘩してるのを横目に、他の選手たちは次々とゴールしていっていた。私たちをチラ見しながらというオプション付きで。いつまで続くんだろう、帰りたい・・・
ほろり、遠い明後日を見ながらゲンナリしていると、唐突に私の体が後ろに引っ張られた。


「うわッ・・・!」

「しー!静かにして。大やもり、行くわよ」

「はいはい」


引っ張った犯人・・・もとい女郎蜘蛛と大やもりは種目そっちのけで未だに口喧嘩をする土蜘蛛と大ガマを冷たい目で見つめたあと、私を担いでさっさとその場から退散した。


「全く、あの2人はいつまでも喧嘩ばかりして!こないだの事が全然身に染みてないわね!」

「我が親戚ながら恥ずかしい・・・。ごめんね、ケイ。うんざりしたでしょ?」

「どっちかと言えばね」

「ごめんなさいね、いつもいつも・・・」

「まぁ、うんざりはするけどもう慣れたったいうか・・・女郎蜘蛛たちが謝ることはないよ。私こそ助けてくれてありがとう!」

「どういたしまして」

「ふふ、ケイの可愛い笑顔が見れるためならお安い御用よ!」


ちょっと女郎蜘蛛が何言ってんのかわかんないけど、まぁいっか。


「そう言えば、あの2人のお題って結局何だったんだろう・・・」





_____

愛梨様、この度はまたリクエストして頂きありがとうございました!そして大変長らくお待たせして申し訳ありません・・・!!本 当 に申し訳ありませんー!!!
長いことお待たせした割に運動会ネタなことをお許しくださいまし・・・!!

最後の大ガマと土蜘蛛の借り物競争のお題はお好きな様に想像して頂ければと思っております。

こんなのでよろしければどうかお納めくださいませ・・・!!

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