続 ゴーストバスターかまぼこ | ナノ
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05




放課後、親分も誘って私たちは善逸くんの家に向かった。途中のコンビニで、念の為とポカリやらゼリーやらを買い込んだら結構な荷物になってしまったのだけど、もしあまるようなら善逸くんのご家族たちにも食べてもらえばいいかなって。

善逸くんは一人暮らしらしい。というのも、それを知ったのがついさっき。てっきり、前にお世話になったあの神社に住んでると思ってたから余計にびっくりした。
尚のこと早く行かないと、という気持ちが膨らむ私の足は自然と駆け足になってしまう。炭治郎くんの案内の元たどり着いたとあるアパートの階段を上がり、善逸くんの部屋のインターホンを押そうと指を伸ばす。……前に、がちゃり。隣の部屋のドアが開いた。


「あれ、君たち我妻くんの友達?」

「えっと…」


ドアから顔を覗かせたのは、大学生くらいのお兄さんだった。


「あ、俺我妻くんの隣に住んでるんだけど、彼今日帰ってこないみたいだよ」

「え?それはどういう…」

「さっき彼のお兄さんが来てね、服が入った紙袋持って行ってたからてっきりいつもみたいに神社に泊まり込みしに行ったんだと思ってたんだけど」

「お兄さん…?それに泊まり込みって…」

「お兄さんって言うか、兄弟子?俺もそのへんよくわかんないんだけど、ただその兄貴と俺が同じ大学で、でもって我妻くんは時々神社に泊まり込みの手伝いをしに行くみたい」


…なんか、思わぬ所で意図せずに善逸くんの家族構想と諸事情を知ってしまった感がすごいんだけど…
戸惑う私をよそに、炭治郎くんたちは顔を見合わせてぺこり、頭を下げる。


「教えてくれてありがとうございます!杜羽、行こう」

「え、え、え?」

「さっさと歩かねぇと置いていくぞ」


ちょ、待って、何が何だかわかんないんだけど。
とりあえずお兄さんに軽く会釈してから、さっさか歩いていく二人の背中を追いかける。アパートの階段を降りきって、妙に静かな親分を気にしつつも炭治郎くんに声をかけた。


「ど、どうしたの急に…?」

「今から神社にいく」

「神社…前に行ったところだよね?」

「あぁ。…何だか嫌な予感がするんだ」


嫌な予感。炭治郎くんの言葉にどきりと心臓が鳴る。だってそれは、さんざん私が感じたものだ。倒れた善逸くんをお兄さんが迎えに来て、安心するはずなのに…


「前々から善逸から不穏な匂いがしていたんだ。けど、あまりにも微弱だったから気のせいだと思っていけど、多分あれは、気のせいなんかじゃない」


炭治郎くんが言うのなら、きっとそうなのだろう。だけど、炭治郎くんでさえ見逃してしまう程弱いものなら、善逸くんならぱぱっと祓えてしまうんじゃ…


「逆だ。弱いからこそ深くに根付かれて祓えねぇんだろ。ったく、厄介なもんくっ付けやがって…らしくねぇ…」


親分は悪態はつくけれど、言葉の隅々で善逸くんを認めているというか、信頼してくるからこそその言葉が出てくるんだろうなって、思う。
二人と私とでは、どうしたって過ごす時間が違う。少しでも力になりたいって思うのに、やっぱり私は、善逸くんの事を何も知らない。

これなら…


「(これなら、視える力があった方がよかった…そうしたら、皆が見えないもの全部視えるのに…)」

「杜羽」

「!な、何?」

「まだ善逸自身に何かあったって決まったわけじゃない。今までのは俺たちの憶測でしかなくて、もしかしたら、本当にただ善逸のおじいさんところに行っただけかもしれないだろう?だから、そんな顔するな」

「そうだぞ。あいつ意外としぶといの、お前も知ってるだろ」

「…ん、そうだね」


この人たちはずるいと思う。なんたってこんなに筒抜けてしまうのか、それでいて、支えてくれたり背中を押してくれる言葉ばかりくれるから、甘えてしまうんだ。
この人たちが言うのなら、そうかもしれないって。


「かなわないなぁ…」