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ヤンデレ善逸と夢主


アンケートコメントより
ヤンデレ(になっているかは定かではない)
学パロ
モブクラスメイトいる



「なんで」


クラスメイトの男子と日誌の内容について話していると、突然背後から抱きすくめられた。肩に乗る頭の重みと、匂いを嗅ぐまでもなく漂う激しい嫉妬の気配に、あぁ、またか、と思う。


「どうしたの善逸」

「羽炭は俺が嫌いなの?だからいつも俺以外と楽しそうに喋るの?羽炭の恋人は俺でしょ?俺は羽炭がいればそれでいいのに羽炭はそうじゃないの?俺はこんなにも羽炭が好きで大好きで愛してるのに羽炭はそうじゃないの?」


時々、善逸はこうなる。それは大体が私が誰かと話している時で、初めこそ戸惑ったけれど、どこからともなく現れては毎回同じ事を言うからさすがに慣れてきた。


「俺以外と話す口なんていらないよね。あ、それならいっそ閉じ込めてしまおう。羽炭の笑顔も声も誰にも届かないところに閉じ込めて逃げられないように足を縛って俺以外の誰かに触れる腕も切り落としてしまえば羽炭はもう誰のところにも行けないね。ずっと俺だけのものになれるし俺だけを見てくれるようになるね。そうだそうしよう」


なんて、矢継ぎ早に耳元で言う善逸の言葉が目の前のクラスメイトに聞こえたのか、彼は顔を真っ青にさせて半泣きであった。善逸への恐怖と私に対する申し訳なさで今にも押しつぶされそうな彼がさすがにかわいそうになってきて、小さくため息をこぼせば腹に回る善逸の腕の力が強くなった。


「善逸」


できるだけ優しく声をかけてやる。ぴくり、善逸の肩が揺れたのがわかったが、当の本人は無視を決め込んでいるのか無言だ。「ねぇ、善逸」もう一度名前を呼ぶ。それでもなお何も言わない善逸に痺れを切らせた私は無理矢理体を反転させ、善逸と向かい合った。
突然の事でびっくりしたのか、べっこう飴色の目が瞬く。そんな善逸の両頬に手を添え、見つめればじんわりと彼の頬に赤みが集まる。


「私は閉じ込められるのはやだなぁ」

「だって羽炭は誰にでも優しいから、いつか俺から離れて行っちゃう気がして怖いんだ」

「どうして?私は善逸の恋人なのにどうして離れて行くの?」

「告白されてるの見た」

「ちゃんと断ったよ。私には善逸がいるもの」

「笑いかけた」

「そりゃ笑いもするよ、人間だもの。それに、善逸が私の腕を切り落としてしまったら、私はこうやって善逸に触れないし、抱き締め返してあげられないじゃない」

「う…」

「善逸は私に触れてくれるのに、私は善逸に触れられないの、すごく嫌だ」

「羽炭…」

「私は善逸が大好きだよ」

「うん…俺も好き…」


これ以上にないくらい顔を真っ赤にさせて私を抱きしめる善逸の背中をぽんぽん、と撫でる。
小さい頃に親戚中をたらい回しにされていたらしい彼は、誰かから向けられる愛情にひどく執着する。だからそれが自分から離れる事を怖がるし、そうさせる要因を許しはしない。

けど、善逸も馬鹿だと思う。私が今更善逸から離れる事なんてないのに、こんなにも常日頃から、恥ずかしいけど、ちゃんと好きだって伝えてるつもりなのにそれをちゃんと聞かないのだから。


「善逸、卒業したら一緒に暮らそうか」

「えッ…!?何その素敵イベント嘘でしょ嘘すぎじゃない!?なんでなんで?」

「だって離れてて不安になるのなら、いっそ一緒に住んだ方が早いかなって…」

「もぉー考えが雑把なんだけど!けど嬉しい!…えへへ、一緒に、かぁ…」


家族みたい、なんて、蕩けそうな笑顔で言うもんだから、つい小さな声で「家族になろうよ」なんて言ってしまった。
思わず口を塞ぐけど元来耳のいい善逸には筒抜けだったようで、こっちがびっくりするくらいに顔を真っ赤にさせて、本当に幸せそうな匂いをさせて頷いてくれたからもうなんだっていいやって、思ってしまった。





「竈門さんすごくね…?我妻先輩のあれ普通に受け入れちゃってんだけど…」

「俺マジで死ぬかと思った…見た?あの眼光…怖すぎてちびるかと思ったわ」

「ばっかお前…我妻先輩が近くにいる時に竈門さんに話しかけるからだろ」

「仕方ないだろ…?!竈門さん日直だし、日誌で分からない事あったんだから!」

「おい声がでかい!我妻先輩めっちゃ睨んでんぞ!」

「「ヒエッ」」