モブが夢主を怒らせる話*
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我妻がにょた
ゆるい百合
付き合ってる(一部公認)
名前が「我妻善乃(あがつま よしの)」固定
にょた妻がモブに襲われかける描写あり
学パロ
炭治郎と双子
夢主ちょっとお口悪い
「ねぇ炭治郎、善乃知らない?」
善乃に用事があって探していれば、一向に見つからなくて双子の兄に助けを求めれば、炭治郎は顎に手を当てて首を傾げた。
「善乃ならさっき公民担当の先生に呼ばれたけど…」
「公民?」
善乃は公民担当に呼び出されるような事をしたのだろうか。もしかしてこの前の成績がよろしくなくて、それで補習授業させられているのかな。
…だとしたら、些か遅すぎるのでは。
もうすぐ本鈴が鳴る。普通なら予鈴が鳴る前に生徒を教室に返すはずだし、ここまで長引かせる事はない。少なくとも、煉獄先生たちはそうであった。
「…ちょっと善乃探してくる」
「探してくるって、もうすぐチャイムが鳴るぞ?」
「だからだよ。善乃だっていくら補習で遅れたからって遅刻扱いはいやでしょ?…それに、ちょっと嫌な予感がするの」
「じゃあ、俺も手伝うよ」
「え?そ、そんな、悪いよ!炭治郎は授業受けてて」
「二人で探した方が早いだろ?それに、羽炭より俺の方が鼻が利くんだから」
「もぉー…じゃ、よろしくお願いします」
「うん、お願いされました」
そう言って炭治郎と手分けして探す事になった。すん、と鼻を鳴らしながら善乃の匂いをたどっているのはちょっと犬みたいだな、なんて苦笑いしていると、ふと嗅ぎ慣れた匂いを見つけた。
「善乃…?」
たどり着いたのは、絶対に人が寄り付かないであろう旧校舎。なんでこんなところに善乃が呼び出されるのか不思議で仕方なかったのだけど、ふと背中を這いずった嫌な予感に心臓の脈が早まった。
駆け出し、旧校舎の敷地を横切る。段々と強まる善乃と、もう一人…別の人間の匂い。
「善乃!!……ッ」
裏庭の校舎の影。そこに駆け込めば、公民担当の教師に壁に押し付けられ、シャツが半分ほど脱がされた状態の善乃を見つけた。
「ッ…!な、なんだ君か。ダメじゃないか、こんなところに来ちゃ…。この子がね、誘ってきたんだよ。だから僕は悪くないわけで」
「、」
殴られたのか、ほっぺが真っ赤に腫れ上がっている。遠目から見ても、カタカタと震えているのがわかるし、なにより…
ぼろり、善乃の目から涙がこぼれ落ちた。それを見て、一瞬で頭に血が昇る。
「そもそも、言いふらしたとしても君と僕の言葉ならどっちの方が信用があるか…」
「…れ」
「は?」
ぶちり。どこかで何かが切れる音がした。
「黙れクソッタレが!!」
走ったそのままの勢いで公民教師の腹に飛び蹴りをかます。大きく転倒したそいつに馬乗りになって、何度も顔面を殴りつけてやった。
元々、炭治郎と違って喧嘩は強かったし、腕っ節も実は私の方が強かったりする。
「よくもぬけぬけとそんな事が言えたな!!怖がる女子に無理矢理不埒を働くなんて男の風上にもおけない!!」
「ぐッ…や、やめッ…!」
「善乃を泣かせたな!!怖がらせて、殴って、泣かせて…!!絶対に許さない!!」
「は、羽炭やめて…!」
善乃が後ろから抱きしめるように私に覆い被さってきて、ほんの少しだけ落ち着いた。最後に一発殴りつけて、善乃の肩に私のブレザーを羽織らせながら公民教師から距離をとる。
顔をぱんぱんに腫らして鼻血を垂らす様はひどく滑稽だが、私の腹の虫はまだおさまってなんかいない。
「お、お前…!自分が何したのかわかってんのか!!こんな、教師を殴るなんて…!」
「殴られるような事してんだろうが!」
「ふん、だとしても、証拠がなければお前の言い分なんて通じるわけ…」
「へぇ、証拠があればいいのか」
突如響いた第三者の声。振り返れば、スマホを弄る宇髄先生とその隣で息を切らせる炭治郎がいた。
「う、宇髄先生…!なんでここに…」
「旧校舎に教材取りに来てたんだよ。そしたら、すっげー面白い事してたからよ、ほれ」
宇髄先生が揺らすスマホの画面には、善乃が公民教師にぶっ叩かれたところから始まる動画が映っていて、びきり、私の額に青筋が浮かんだ。
「あんた、見てたんならなんで助けなかったんだよ」
「お、おい羽炭…!その言い方は…」
「いや、これは俺が悪い。証拠がいると思ってそっちを優先させちまった。我妻、悪かったな」
「いえ、羽炭が来てくれたんで…」
「善乃…」
ぎゅーッ、と抱き締めれば、善乃はまだ震える手を私の背中に回した。
「さて、と…俺が言いたい事はわかってんだろ?」
「、…」
顔面を蒼白にさせた公民教師を拘束して立たせた宇髄先生にとりあえず「ありがとうございます」と言えば、「ちゃんとそばにいてやれよ」と言い残し、片手を挙げて去っていった。
…元はと言えば、いくら証拠がいるからって動画じゃなくてもよかったんじゃないだろうか。
じとり、宇髄先生が消えた方向を睨めつけた。「羽炭、善乃」炭治郎に呼ばれ、振り返れば、ぽふ、と頭に大きな手が乗る。
「俺も、すぐ来れなくてごめんな」
「ううん、でも、探すの手伝ってくれてありがとう」
「ん。…俺は教室に戻って二人の早退届け出してくるよ。後で鞄持って行くから、先帰ってな」
「うん」
炭治郎も走って行き、この場に私と善乃だけになった。
「…大丈夫?」
今までずっと無言だった善乃に声をかければ、ぴく、と肩を揺らした。まだ恐怖の匂いが残ってる。きっとよっぽど怖い思いをしたんだと思う。
少しだけ体を離そうと動けば、善乃は離れないで、と言いたげに腕の力を強めた。「善乃」できるだけ優しく、優しく声をかける。ほんの少し顔を上げた善乃の目元はまだしっとりと濡れていて、それを指で拭ってから善乃の口に吸い付いた。
「ん、…」
何度も啄むように唇を食んで、こつり、額をくっつける。善乃の顔は茹でたタコみたいに真っ赤になってて、すごく、かわいいなって、どきどきした。
「善乃、あいつにどこ触られた?」
「え?」
「どこ触られたの?」
「…う、腕…ひゃッ」
腕、が大まかすぎてわからなかったけど、とりあえず手首を持ち上げてそのまま口付ける。「次は?」「ぅ…くび…」頬。肩。胸元。善乃が言う場所全部に口付けて、最後にもう一度善乃の口を塞げば、とろん、と熱に浮かされた顔をするから、思わず喉を鳴らしてしまった。
けど、自分の中に出てきた欲を無理矢理抑え込んで善乃の肩に顔を埋めれば、どうして、と言いたげな不思議そうな匂いをさせた。もう…もうッ…!
「な、なんでやめちゃうの…?」
「もぉぉおお…なんでそんな事言うの…!もっと自分を大事にして!」
「?だって、羽炭にだったら何されても嬉しいし…」
「やだ!そんな事言わないで!我慢してんのに!」
「なんで?」
「なんでって…だって、あいつがいた空間でしたくない…」
「…やきもち?」
「うぐ…まぁ、違わないけど…」
だって、普通に嫌じゃない。思い出しただけでも腸が煮えくり返りそうなのに、同じ場所だなんて。嫌。無理。断固拒否。
そう善乃に言えばびっくりしたように目を瞬かせて、すぐにくすくすと笑い始めた。
「羽炭がそんな事言うなんて珍しいね。どんだけ私の事大好きなの」
「大好きだよ。そんな言葉じゃ足らないくらい」
何はともあれ、早く家に帰ろう。せっかく炭治郎が早退届け出してくれてるんだから、いつまでもここにいるわけにはいかない。
…その前に、保健室に行ってジャージ借りないと。さすがにブレザーだけじゃ心もとないから。
善乃と指を絡めて旧校舎を後にする。
後日、あの後の公民教師がどうなったかは聞いてないけど、まぁ、微塵も興味がない話なのでどうにでもなれって心の中で中指を立ててやった私である。
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後半を書きたいがために話を作ったと言っても過言ではないという事実。
ちょっとにょた妻が誰お前状態ですが。