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お師匠と私

年齢操作。
炭治郎いる。
善逸と炭治郎が柱。
夢主が継子。
炭治郎の5歳下の妹。



「お師匠、起きてください!!」


すぱんッ!と小気味のいい音を立てて襖を開け放てば、差し込んだ光が眩しかったのかお師匠がもぞもぞと布団に潜り込んだ。


「さぁさぁ、いつまで寝こけているんですか!今日は柱の集まりがあるのでしょう?早く支度をなさってください!」

「う…あともうちょっと…」

「ちょっともへったくれもありますか!」


この屋敷での私の朝は早い。誰よりも早く起きて、自分の身支度を整え、朝餉の支度をし、お師匠を起こしに行くのが私の日課である。
別に苦ではないし、なんなら朝餉の支度もお師匠を起こしに行くのも私が率先してやってるわけだけど…

ただ一つ。そう、お師匠はめちゃくちゃ寝起きが悪いのだ。


「お師匠、起きてください」

「ん〜…すこー…」

「お師匠ー!」


ゆっさゆっさ。こんもり膨れた布団を揺さぶるが、くぐもった唸り声が聞こえるだけでお師匠が起きる気配はない。
さて…どうしようか。

お師匠がすぐに起きる方法はある。ただ、これをやった瞬間素早く離れないとひどい目に遭う。私が。
瞬発力においてお師匠にかなうはずがない、が、やらないと本当に集まりに遅れてしまう。


「(できるならこれはやりたくないんだけど…)」


短くため息を吐いて、布団に顔を寄せる。いつでも逃げれるように体制を整えて、息を吐いた。


「…善逸さん、起きて」


言い切ると同時に逃げる!!……よりも早く、布団の中から伸びてきた手が私の腕を掴み、引き摺り込まれた。あー!!


「ちょ、ちょっと…!お師匠…ひゃあ…!」


がっちりと腰を抱かれ、お師匠の足は私を挟み込むように回される。そしてあろう事か、お師匠の手はもぞもぞと私の尻をまさぐった。


「お、お師匠…!今まで狸寝入りしてましたね…!?」

「だって一生懸命起こしてくれる羽炭がかわいくて。ごめんねぇ?」

「だ、だからって!いちいち尻を揉まなくても…ひゃッ」

「羽炭は柔らかくて気持ちいいんだもーん」


もーん、じゃないから!もーん、じゃ!いい歳こいた大人がそんな風に言ってもかわいくない!
なんて、内心でめちゃくちゃツッコミを入れるものの、実際のところシャツの裾から滑り込もうとするお師匠の手を阻止するのに精一杯な私である。

どうにか身動ぎして体を反転させることはできたのだけれど、一瞬の隙をついて今度こそお師匠の手が入ってきた。「や、やだ…!あっ…」お師匠の大きな手が直に大して大きくもない私の胸を包み込み、そのままやんやりと揉まれる。首筋にお師匠が吸い付いた。


「あっ…おし、しょ…!ん、集まり、おく…れ…」

「まだ時間あるから大丈夫。それより、さっきみたいに俺の名前呼んで?」

「ぜ、善逸、さ…んぅッ」


促されるがまま善逸さんの名前を呼ぶと、言い終わる前に口を吸われる。ぬるりと唇の隙間から善逸さんの舌が入り込んできて、あっという間に私の舌を捕まえた。
無慈悲にも口内で動き回る善逸さんの舌が熱くて頭がぼーっとする。気付けば着込んだ隊服は半分ほど脱がされていて、口付けをやめた善逸さんは首筋をなぞるように舌を這わせた。ちくり。首筋と胸元に痛みが走る。


「ぜ、善逸さんッ…!私今日は柱稽古があるんですよ!?そんな、見えるところにつけられちゃ…!」

「誰?」

「えッ…」

「誰に稽古つけてもらうの?」


私を組み敷いたまま見つめる善逸さんの稲穂色の目玉に射抜かれて、言葉が詰まる。「に、兄さん…」存外か細い声に驚くが、それを聞いた善逸さんは、「なら大丈夫だね。今日は俺が代わりに稽古をつけるって炭治郎に鴉飛ばしとくよ」と宣った。

いや、いやいやいや。いくら善逸さんでもそれはダメだ。却下。
なぜなら兄さんは忙しくてほとんど与えられた屋敷にいない事が多い。そのためめったに柱稽古を開いてくれなくて、今日みたいに奇跡的に屋敷にいる兄さんが柱稽古をするのは本当に稀なのだ。
今までの気持ちよかったのが一気にどこかへ消え去り、意識が戻ってくる。「いい加減に…!」下半身に伸びた善逸さんの腕を掴み、頭を引く。
そしてそのまま勢いを殺さずに善逸さんに頭突いた。


「起きろッ!!」


ーゴシャッ


「ぶへッ」


ぱたり、善逸さんが白目を剥いて倒れた。力の抜けた腕から今のうちに抜け出し、手早く身なりを整えた。


「いくらお師匠でも、兄さんの柱稽古を邪魔するなら情けも容赦もありませんからね!」

「羽炭…ほんと…そーいうところ炭治郎にそっくり…」

「早く支度なさってくださいね」

「はぁーい…」


ようやく体を起こしたお師匠を横目に、もう大丈夫だろうと襖を開ける。「羽炭」名前を呼ばれ、振り返ると思いのほか間近にいたらしいお師匠が小鳥が啄むように私の唇に吸い付いた。


「ん、…い、いきなりなにを…!」

「今夜、覚えといてね」

「ッ〜…!」


あぁ、もう…なんたってそんな顔で私を見るの…。砂糖をドロドロに煮詰めたような目で見られたら、私まで熱にうかされちゃうじゃない…

機嫌よく鼻歌を歌い始めたお師匠を背に、深くため息をついた私であった。