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本音と本心がまろび出る話


ご都合血鬼術
お下品
キャラ崩壊
募集箱より







善逸が鬼の血鬼術にかかったという話はすぐにしのぶさんから聞かされた。その時になんだか「見ればわかりますよ…」と心底頭が痛そうにこめかみを抑えながら言うから私は疑問でしかなかったのだけど…


「死ぬ前に羽炭としこたま閨したい」

「………………………」

「ああああああ羽炭違うんだ今のはいや全然違わないけど!そんな冷たい目も好き!!」


何を…言っているの…?ドン引きした目で善逸を見れば泣きながら崩れ落ち、けれど口からは何かよくわからない事を一生垂れ流していてなんだか頭が痛くなった。しのぶさんがあんなにも疲れた顔をしていたのはもしかしてこれが原因なのでは…。私は人知れず戦慄いた。


「…善逸、その、そういう事をさ…誰彼構わず言ってたわけ…?」

「違うんだって!言いたくて言いたいわけじゃなくて口が勝手に喋っちゃうの!それもこれもあの鬼のせいなんだって!羽炭好き結婚して!」

「…さっきからずっとこの調子なんです…。しのぶ様は放っておけばそのうち治るだろうと言っておられましたが…」

「投げたな、あの人…」


アオイさんが心底軽蔑した目で善逸を睨む。「普段からそんな事を考えていたんですね…」そう吐き捨てて出て行った。


「うわああああん違うんだアオイちゃん…!俺は…!俺はただ羽炭が大好きなだけで…!」

「善逸…」

「あわよくば事に及べないかって思ってただけなんだよおおおおお」

「善逸…」


二回目の善逸で声が露骨に落胆した。


「羽炭ぃぃぃ…よしよしして…頭撫でて…」

「はいはい」


腰にしがみついてきた善逸の頭を言われるがまま撫でる。なんか、色々開き直ったでしょ、あんた。「ちゅうしよ…」「しない」ちょっと調子に乗り出したな。


「そりゃあ血鬼術に掛かったのは俺の落ち度だけどさ!?仕方ないじゃん!?一緒に行った子庇ったらそうなっちゃったんだから!むしろこんな血鬼術女の子がかからなくてよかったよ!!」

「…女の子だったんだ?」

「え?あ、うん、そうだけど…。もしかして嫉妬!?やきもち妬いてくれた!?そんな、ついに羽炭がやきもち妬いてくれるだなんて俺…!」

「いや、妬いてないけど」

「ゑ…?なんでよ普通妬くでしょ!?羽炭はちっとも妬いてくれないから慰め閨できなくてしょんぼりしてる俺の気持ちにもなって!?」

「慰め…閨…?」

「ちっがあああああう!!ぶすくれる羽炭の機嫌取りながらあんあんなかせたいとか思ってないから!!」

「…………………へぇ?」

「もおおおおおこの口!!やだ!!この口のせいで羽炭と距離が開いていく!!」


この男…碌でもない事考えてんだな…。もはや血鬼術なのか素の善逸なのかわからなくなってきたけど、なるほど、へぇ、そう。しがみつく善逸の手をひっぺがした。そんな破廉恥な人間にあげる優しさはありません。


「ぐす…あんまりだよ…」


…まぁでも、わざとじゃないって言うのはわかってるつもりなんだけど…こうさ、面と向かってしこたま閨したいとか言われたら私だって戸惑うじゃない。普段言わないから余計にびっくりするし、いくら善逸だとしても、そんな目で見られていたって思うとどう接していけばいいかわからなくなる。
ごほん、少しわざとらしく咳込めば、ぼろぼろとかわいそうなくらい涙を流す善逸が私を見上げて、少しだけ胸が痛くなった。


「あのさ、善逸…」

「何よ…。俺の事嫌いになったの…もしそうなら俺辛すぎて死んじゃう…羽炭に嫌われたら、俺…」

「待って、なんでそうなるの。私は善逸を嫌ってないし、嫌いだとか思ってないから」

「今振り払ったじゃあああん…」

「まぁ、そうだけど…。いや、あれは善逸も悪い!誰だってあんなッ…あ、あんあんなかせたいとか言われたら引くって…」

「なかせたいんだもんッ!!」

「話の腰を折らないでよ!…とにかく、私が嫉妬しないでいられるのは、今みたいに善逸が私の事を好きだって言ってくれるからなんだよ」

「へ…」

「ね、閨とか言われたら…その…え…?ってなるけど…想ってくれる気持ちはすごく嬉しい」

「羽炭ぃ…!」

「………………だから、早くその手をどけてくれるとありがたい」


するりするりと、先程からいやらしく腰を撫でられてちょっと死にそうな私。全力で善逸から目を逸らし、遠い目をしていると、鼻息荒く詰め寄ってきた。うわ…目…


「それはつまり!!今からいちゃらぶ閨ができるという事ですかッ!!」

「いいえ違います。って、ちょお!言ったそばからやめい!」

「つまりそういう事だろおおおお!?もう、羽炭ってばぁ!俺とイチャイチャしたいなら最初っからそう言えばいいのに!」

「人の話聞いて!?だから…力強ッ!」


ギリギリと肩を押す善逸と、絶対に倒れまいと足を踏ん張る私。倒れたが最後…アーッな事になるのは目に見えてるわけで…


「はぁー…はぁー…俺…やりたい体位があるんだけど…」

「やめてそんな生々しい事言うの!怖い怖い怖い!!ちょ、しのぶさんッ!しのぶさあああああんんんん!!」


もはや本心と思考が一体化した善逸を相手に死にものぐるいになってしのぶさんを呼べば、駆けつけた彼女の手刀によって善逸は意識を沈ませたのだった。

そして善逸にかかった血鬼術が解けるのはそれから三日後の事である。





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本心とえろい事を考えているのがバレる話。

素敵なネタをありがとうございました!