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if もし禰豆子が男で交際報告したら


性別転換
ねずおくん(鬼化してない/平仮名固定)
募集箱より




「ねずお、話があるんだけど…」


蝶屋敷の手伝いを終え、ふぅ、と一息ついていた時、唐突に姉さんに呼ばれた。こんなに言いにくそうにしている姉さんは久しぶりだ。どうしたんだろう。とりあえず立ったままはなんだから縁側に座って姉さんの言葉を待った。


「どうしたの姉さん?急に改まって…」

「や、その…言わなきゃいけないって思ってたんだけど、中々言うタイミングがなくて…」

「言わなきゃいけない事…?」


なんだろう、心当たりがない。「まだ誰にも言ってないけど、せめてねずおには言おうって…」…だけど、これだけは分かる。この胸を燻るこれは、そう、嫌な予感だ。「待って、姉さん」思わずストップをかけてしまった。


「…今から言うそれはいい事?それとも悪い事?」

「へ?えっと、いい事、なのかな…私はいい事だと思ってるけど…」

「…まぁいいや、続けて」


首を傾げながらも、姉さんは続けた。けれどその後すぐに落とされた爆弾に、今度こそ空いた口が塞がらなかった。


「あの、ね…私、善逸とお付き合いさせてもらってるの…」

「は?」


ぽかん、と呆ける口からはおおよそ自分のものではないほどの低い声が出ただろう。あまりに低いから、目の前の姉さんがびっくりして目を瞬かせている。というか、え?なんて?


「…待って姉さん、待って。僕頭が追いつかない。今なって言ったの?」

「だッ…だから!その…善逸と、お付き合いさせてもらってるんだってば…」


「何回も言わせないでよ…」だなんて顔を真っ赤にしてうつ向く姉さんは我が姉ながらかわいいと微笑ましくなるけれど、今はそれに目を向けている場合じゃないのである。
姉さんの言う“お付き合い”が買い物のお付き合いじゃない事くらい僕にもわかるし、現実逃避は…ちょっとしたいけど、それでも一世一代の!と言わんばかりに報告してくれた姉さんの気持ちを蔑ろにしたくないから。
とりあえず深呼吸した。まずは祝ってあげないと。よかったねって。だってずっと姉さん働き詰めでそんな話聞かなかったから。ちゃんと好きな人ができた事、それをまず僕に言ってくれた事。嬉しいじゃないか。
心を落ち着かせて、にっこり、微笑む。


「うちの姉さんを誑かした善逸さんは今どこに?」

「ねずお…」


呆れたように姉さんがジト目を向けてきた。


「…善逸さんが優しいのは知ってるよ。すぐ泣くしちょっとヘタレだけど、実は強くて姉さんも守ってくれるってわかってる。けど、あの女好きだけは信用できない」


ぶ、と頬を膨らませてつま先を睨み付けると、隣で姉さんが吹き出したのが分かった。なんで笑うんだよぅ…だって、僕は姉さんが悲しむ方が嫌だよ。
そう言えば、姉さんは今度こそ声を上げて笑った。


「……笑い事じゃない」

「ごめんごめん。…まぁ、善逸のそういうところは半分諦めてるかな。あいつはどうしたって女の子に優しいし、その度に嫉妬してたらもたないよ」

「そうだけど…」


ダメだ。不安しかない。きっと姉さんの中である程度の線引きはあるのだろうけど、優しい姉さんの事だ。きっと“仕方ない”で終わらせてしまうだろう。

…ここは、僕がしっかりしないと。そうだ、アオイさんたちにも協力してもらおう。なんだかんだアオイさんは姉さんの事すごく心配してるし、なほちゃんたちも言わずもがな。善逸さんが少しでも怪しい行動なんてしようものなら、皆で即粛清だからね。

人知れずその決意を胸に噛み締めていると、離れた所から「おーい!」と聞き覚えのある声が聞こえてきた。
…そうだな、まずは…


「善逸さん覚悟ッ!!」

「えッ、何々どうし…ギャー!!ちょ、あぶなッ!!箒振り回さないでねずおくん!!これ当たったら地味に痛いんだからね!?」

「何してるのねずお!危ないでしょうが!」

「というか、なんで俺箒でしばかれようとしてんの!?」

「姉さんを傷物にした恨みは大きい…」

「俺まだ何もしてませんけど!?」

「ええい黙りなさい!とにかく、うちの姉を泣かせようものなら僕は許しませんからね!!」

「何が何だかわからないけど、元よりそんなつもりないからああああ!!」


手始めに箒で一発しばかせてもらわないと、僕の気がすまないわけで。

散々追いかけ回した後、姉さんにしがみついて咽び泣く善逸さんと、そんな善逸さんをくっつけたまま僕に雷を落とす姉さんが見かけられたのはまた別の話。





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もし禰豆子が男で、善逸と付き合っている事を報告したら。


ねずお
一人称、僕
姉を悲しませるようなら武力行使も辞さない。先に手が出るタイプ。
「僕は見てますからね…善逸さん…」
「怖い…」
※いずれも管理人の捏造です。

素敵なネタをありがとうございました!