×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

興奮しますね、もちろんそういう意味で




「紅玲、あなたの実力はそんなものですか?」

「は、...ッ違う!」

「ならば私を殺す気でかかってきなさい!」


中庭に刃同士が擦れ合う金属の音が響く。白瑛殿は剣、私は槍。
白瑛殿の鍛錬はとてもスパルタで、私が何度も地面に膝をつく度に叱咤が飛んでくる。

私は強くならなくちゃいけない。私が憧れて槍を手にとった理由である白龍殿を超えるためにも。


「はッ...はぁッ...」

「ッ...紅玲、少し休みましょうか」

「、いいえ、まだまだやれます!もう一度...」

「焦ったって、何も得るものはありませんよ。飲み物を取ってくるので、待っててください」


そう言って白瑛殿は行ってしまった。手合わせの相手がいなくなった私は、廊下に続く階段に腰掛け、槍を地面に突き刺した。

焦っても得るものはない、か...。
確かに私は焦っていたのかもしれない。兄弟みんなが金属器使いで焦らない筈がない。
私だって、紅炎兄様たちの役に立ちたいのだ。


「はぁ...」

「紅玲様」


ふわり、と肩にタオルをかけられた。振り返るとにこり、と笑う青舜。
こうしていると、普通にいい従者なんだがな。


「あぁ、ありがとう。雪路はどうした?」

「雪路なら、今は紅覇様に捕まって追いかけられていますよ」

「何をやったんだあいつは...」

「さあ」


耳をすませば、確かに遠くの方で雪路の悲鳴が聞こえる。そして紅覇兄様の高らかな笑い声。

あぁ、あいつはふわふわしてるからな。からかわれついでに追いかけられているんだろう。

不憫なやつだ。


「........................」

「ふふふふふ」

「......何がそんなにおかしいんだ、お前は。怖いぞ」

「いやぁ、紅玲が汗をかいているお姿がエロいとか、上気して赤くなったお顔に興奮するとか、紅玲様が着ている服になりたいとか、そんなこと微塵も思ってませんから」

「思ってるんだな」

「てことで今履いている下着ください」

「誰がやるか愚か者!!!」


ズザーッと青舜からすごい勢いで離れる。駄目だ、これ以上こいつといたら変態が移ってしまう!!私に!!

それだけは何としても避けなくては...!


「そんなに遠ざからなくてもいいじゃありませんか。一緒にお茶しましょうよ!個室で2人っきりで」

「ちっともいい予感がしない!!大体、なんでお前はそう私に構うのだ!!」

「いいじゃありませんか。私が紅玲様とお話しいだけなんですから」

「そのお話とやらだけに留まっていないがな。...はぁ、勝手にしろ。私は部屋に戻る。白瑛殿と雪路に会ったら伝えといてくれ」

「お供しましょうか?」

「いらん。そもそもお前は白瑛殿の従者だろうに」


地面から槍を抜き、その場を去る。
...青舜といると、なんだか調子が狂うんだ。





興奮しますね、もちろんそういう意味で。


「......はぁ、やっぱり私、紅玲様の下着になりたい」

「何を言っているのですか、青舜?」

「いッ...!?」






(3/7)
前へ* 目次 #次へ