興奮しますね、もちろんそういう意味で「紅玲、あなたの実力はそんなものですか?」 「は、...ッ違う!」 「ならば私を殺す気でかかってきなさい!」 中庭に刃同士が擦れ合う金属の音が響く。白瑛殿は剣、私は槍。 白瑛殿の鍛錬はとてもスパルタで、私が何度も地面に膝をつく度に叱咤が飛んでくる。 私は強くならなくちゃいけない。私が憧れて槍を手にとった理由である白龍殿を超えるためにも。 「はッ...はぁッ...」 「ッ...紅玲、少し休みましょうか」 「、いいえ、まだまだやれます!もう一度...」 「焦ったって、何も得るものはありませんよ。飲み物を取ってくるので、待っててください」 そう言って白瑛殿は行ってしまった。手合わせの相手がいなくなった私は、廊下に続く階段に腰掛け、槍を地面に突き刺した。 焦っても得るものはない、か...。 確かに私は焦っていたのかもしれない。兄弟みんなが金属器使いで焦らない筈がない。 私だって、紅炎兄様たちの役に立ちたいのだ。 「はぁ...」 「紅玲様」 ふわり、と肩にタオルをかけられた。振り返るとにこり、と笑う青舜。 こうしていると、普通にいい従者なんだがな。 「あぁ、ありがとう。雪路はどうした?」 「雪路なら、今は紅覇様に捕まって追いかけられていますよ」 「何をやったんだあいつは...」 「さあ」 耳をすませば、確かに遠くの方で雪路の悲鳴が聞こえる。そして紅覇兄様の高らかな笑い声。 あぁ、あいつはふわふわしてるからな。からかわれついでに追いかけられているんだろう。 不憫なやつだ。 「........................」 「ふふふふふ」 「......何がそんなにおかしいんだ、お前は。怖いぞ」 「いやぁ、紅玲が汗をかいているお姿がエロいとか、上気して赤くなったお顔に興奮するとか、紅玲様が着ている服になりたいとか、そんなこと微塵も思ってませんから」 「思ってるんだな」 「てことで今履いている下着ください」 「誰がやるか愚か者!!!」 ズザーッと青舜からすごい勢いで離れる。駄目だ、これ以上こいつといたら変態が移ってしまう!!私に!! それだけは何としても避けなくては...! 「そんなに遠ざからなくてもいいじゃありませんか。一緒にお茶しましょうよ!個室で2人っきりで」 「ちっともいい予感がしない!!大体、なんでお前はそう私に構うのだ!!」 「いいじゃありませんか。私が紅玲様とお話しいだけなんですから」 「そのお話とやらだけに留まっていないがな。...はぁ、勝手にしろ。私は部屋に戻る。白瑛殿と雪路に会ったら伝えといてくれ」 「お供しましょうか?」 「いらん。そもそもお前は白瑛殿の従者だろうに」 地面から槍を抜き、その場を去る。 ...青舜といると、なんだか調子が狂うんだ。 興奮しますね、もちろんそういう意味で。 「......はぁ、やっぱり私、紅玲様の下着になりたい」 「何を言っているのですか、青舜?」 「いッ...!?」 (3/7) 前へ* 目次 #次へ |