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「#エロ」のBL小説を読む
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 #01






私はどうも幽霊だの悪霊だのに好かれる体質だそうで、昔から何かしらをくっつけて来たりちょっかいをかけられたりされてきたわけだが、誰がなんと言おうと平凡なただの女子であると言い張ってきた。

逆に、見えないふりをしていれば低確率でいなくなる事にも気付いた。

霊感、だなんて聞いたらとある陰陽師漫画のように呪文唱えたりとか、式神召喚して悪霊漫画退治したりとかそんなハートフルコメディを思い浮かべるのだけど、あいにく私にそんな能力は備わっていないため、常日頃から持参している筒状の塩を撒き散らして一時的な撃退をするしかできない。

…そう、それしかできないのだ。
とどのつまり何が言いたいのかというとだな。


ードンドン、ドンドン、ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン


「(怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!!!)」


現在、夜の2時半。さっきからなんか玄関の前をうろうろしてる気配がするなとは思っていたけど、それはまた変なのが憑いて来たのか程度にしか思っていなかった。まさかこんな迷惑極まりないノックをされるとは思っていなかった私は布団の中で震えながらはよどっか行けと念じるばかりである。ちなみにインターホンは半月前にぶっ壊れた。低賃金の物件ですからね。


ードンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン


「(まだ叩くか!!)」


未だ鳴り止まぬノックにぶっ倒れそうになっていると、さっきまでやかましいほど響いていたノックがぴたり、とやんだ。ただただ恐怖を増長させるだけである。


「…どっか行った?」


ごそり、布団から這い出たのもつかの間。目が合った。合ってしまった。


「!!」


私んちの玄関扉にはポストがついていて、それは受け箱なんてついていない代物。だから開けば覗き穴みたいになるのだ。
…はい、覗いてます。横長の投函口から真っ黒に落ち窪んだ目玉が2つ。
玄関から私がいる居間までノンストップ直通なため、それはそれはよく見える。

早く目を逸らさないと。塩撒かないと。
そう思うものの、私の体は金縛りにあったように指1本ピクリとも動かない。
視界の隅っこで並べた盛り塩と肌身離さず持ち歩いている塩袋がじょわッと黒く溶けたのが見えた。

…………あ、あいつマジでヤバいやつだ。私じゃ無理だ。

そう思った瞬間。



ーガタタタッ!!


「ギャァァアアアアアアッ!!!」


不意に響き渡った物音に我に返った私は、咄嗟に心優しいクラスメイトからもらった数珠を玄関目掛けてぶん投げた。
数珠がドアにぶつかった瞬間、それは弾けるように光りはじめ、郵便受けから覗くそいつに降り注いだ。眩しくて顔を覆う。しばらくして光が収まった頃、さっきまでそこにいた禍々しい気配が消え、詰まっていた息を心底吐き出した。


「た…助かった…」


緊張で震える足を叱咤してどうにか立ち上がる。すると戸棚の上に置いてある日本人形のお菊ちゃんが倒れているのに気付き、そっと起こした。


「うわーん、お菊ちゃんありがとぉ…!おかげで助かったよぅ…でももうちょっとだけそばにいて…!」


お菊ちゃん。小さい頃におばあちゃんがプレゼントしてくれた日本人形である。両親はめっちゃ怖がってたけど、私はそうは思わない。確かに顔はのぺっとしてて怖いけど。髪伸びるけど!帰ってきたらいる場所変わってる時あるけど!
けどお菊ちゃんが部屋にいると、変なやつは絶対に部屋に入って来れないのだ。心の友である。

お菊ちゃんを抱きしめて恐る恐る玄関に近付く。無残にもそこら中に飛び散った数珠に内心で合掌しながら一つ一つ拾っていった。


「…あ、明日竃門くんに謝らなきゃ」





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やらかしてしまいました…ゴーストバスターかまぼこ隊…
けどメインはほぼ善逸くんになります。
しばしお付き合いくださいませ。








first ◇ end

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