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 #20





「違う!!」


どんッ!と全身を駆け抜けた鈍い衝撃は体の皮膚を裂き、咳込めば口から多量の血を吐いた。


「ごぶッ…!」

「あたしじゃない…!あたしのせいじゃない…!あたしは何もしていない!適当な事言うな!」


一瞬、窓ガラスが割れる音が止んだ。その隙を見逃さず俺は声を張り上げる。


「炭治郎、伊之助!!」


同時に物陰から飛び出してきた二人に鳩間さんは目を剥く。手を振りあげ、さっき俺にしたのと同じ事をする前に札を一枚飛ばす。振り上げられた腕に札が触れた瞬間、じゅッ、と焦げた音がした。


「ぎゃあ!!」


焼けた腕を押さえて蹲る鳩間さんに申し訳なく思うけど、許してほしい。
炭治郎と伊之助は等間隔に札がぶら下がる細い注連縄を、俺と鳩間さんを中心に周囲に張り巡らせてくれる。最後にぴんッ、と縄を張れば、俺たちはもう外に出られない。
これは、中にいるものを閉じ込めるじいちゃん仕込みの結界だ。





***


「随分と厄介なものを相手にしているようじゃな」


ずず、とお茶を啜りながらじいちゃんは言った。
じいちゃんから突然電話がかかってきたと思ったら、急な呼び出しに俺たちはじいちゃんがいる離れに赴いた。こんな悠長に話しをしている場合じゃないと気が急いでいる俺たちをお見通しなのか、じいちゃんは「まぁ落ち着け」と居住まいを正す。


「わかるの…?」

「儂を誰だと思っている。そうじゃなぁ…無意識に、あまりにも膨大な悪い気を吸い続けたせいで自分でもその力を扱いきれていないんじゃろなぁ」

「それって…」

「引き寄せると言っていたじゃろう。きっとその子に取り憑いているもののせいじゃな」

「な、なら早く引き剥がさないと…!」

「まぁ待て。無理に引き剥がそうとすればその霊は怒り狂って、逆に呪いを受けるぞ。くれぐれも無理矢理剥がそうなどと思うなよ」

「じゃあどうすれば…」

「誰かの痛みを知るお前なら、わかるじゃろうに」





***


「何これ…!急に…」


ぱんッ、と両手を打ち付ければ、縄が鳩間さんの体に絡みつき、身動きがとれないよう縛りあげる。それを引きちぎろうと動くから、縄が緩まないよう体に力を入れた。炭治郎と伊之助も、視界の端で縄を握りしめている。
俺は鳩間さんの…いや、鳩間さんの体に入り込んだ“彼女”の目を真っ直ぐに見つめた。


「話を、聞かせてくれないかな」








first ◇ end

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