PDL | ナノ
純太って受けじゃね?



ロードレース乗りってやつはすね毛の処理をするもんらしい。
私の彼氏の脚はいつでも女子みたいに処理されてる。んだけど、

「ナマエー頼むからいきなりはやめてくれよな」

私のベッドにうつ伏せになりながら顔だけこっちを向いているのは、彼女の部屋ですね毛の処理をしようなどとアホなことを考えた私の彼氏。
まあ、確かに自分じゃやりにくい場所ってあるけどさ。

この夏になるってのに暑苦しいパーマ髪を肩まで伸ばした男が、さっきからもうとんでもなくうるさい。

「わかってるよーもー」

自分からブラジリアンワックスやってみたいって言い出したくせに、

「こっちにも心の準備ってもんがあんだよ頼むから」

男のくせにギャーギャー喚きやがって!喧しくて敵わない。
イライラしながら、私は純太のすね毛に丁寧に塗ったワックスに専用の紙をつけて、

「へいへい」

その紙を迷いなく引き抜く。

「うぉおおお!いーった!!なんで今やったんだよふざけんな!」

途端、引き抜いた紙にワックスとそれについた純太のすね毛がびっしり。

純太は涙目になりながらこっちを睨んでるけど、

「え?だって塗れたし」

私は知ったことじゃ無い。

「いや、塗れたしじゃねーよお前アホかよ!やる前に一言言ってくれ」

よっぽど痛かったのか、アホとか言ってくるバカ純太。

「あーはいはいわかったよカウントでもするー?」

「お、それにしてくれ!」

提案すれば、ようやく主張を聞き入れるつもりになったのかと純太が肩を撫で下ろす。

「じゃあ1、2、3ダー!でいくね」

微笑めば、

「お、おう。なんで猪木なのかはわかんねーけどそれで頼む」

私の枕に顔を埋めながら純太も微笑んだ。
ふふふ、油断しまくってるのが見なくても声で分かってしまうから、

「よしきた!いちにい」

ベリっとな!渾身の力で紙を持つ手を引き抜いた。

「うぅおいってえぇええ!?っておまっえっなに何カウントしてくれるって話でまとまったと俺は思ってたんですけど」

凄い反射で飛び起きる純太がちょっと可愛いとか思っちゃうから参った。

「あ、ごめんね」

「あ、じゃねーよ!どー考えても故意の犯行をちょっとミスったみたいに言うなよ!」

安心しきっているところで私に裏切られて、ブチ切れてる純太はめちゃくちゃ唾飛ばしてくる。

「わざとじゃ無いって」

仕方ないから言いながら顔にかかった唾を拭いた。

「いや!俺はわざと痛くしてるとか言ってんじゃねーじゃん!タイミング教えてって言ってんのに勝手にやるから言ってんじゃん!」

純太って私以外の女の子にはちょー紳士だしやっさしいのに私には暴言吐きまくるから、ついついムカついて、うっかり痛めつけたくなっちゃっていかんな。へへ。

「あ、ごめんね。人がこんな面倒くさいことやってやってんのに純太が口煩いからつい」

「そういうごめんねかよー!」

涙目の純太がギャーギャー喚くと、なんていうかちょっとエロい気持ちになるんですけど。

もしかしてこれって新しい扉叩いてる?

「それ以上うるさく言うなら陰毛も行く」

私が純太のボトムに手をかけて言えば、

「ひぃいい!ちょっ!待て待て話し合おうぜ?な?俺が悪かったから物騒なこと言うなよ」

あまりにも怯えきった目でこちら見てくるから、

「誠意を感じ得ない。口先だけの謝罪など私には効かぬわ」

正直ゾクゾクしてた。

「だから本当にごめんって!本当に痛てぇんだよこれ!」

「いや、大丈夫だから。私に任せて?」

「いや、とりあえずワックス置こう!な!ちょっと休憩して〜」

「うるせぇ!いーからやらせろー!」

なんだかノッてきてしまった私は、そのまま純太の履いていたボトムを力任せに引っぺがす。

と、

「わ!ちょっマジでかお前っ」

純太が身動ぎして顔を赤くするから、

「でもまあ、とりあえず一発ヤッとく?」

純太に跨って舌舐めずりして見せれば、

「え……っちょっナマエっ!?」

内股に確かに当たるモノがなんなのか。それがわかるのは、もちろん私だけじゃ無い。

「なぁんだ、純太もその気なんじゃない」

挑発するように唇に噛み付けば、

「くっそ、ナマエがんなエロい顔、してくるからだろ」

睨んでくる純太が可愛い。


「そろそろ、恋人らしいことしよーよ」



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