終末エデン | ナノ


流れ出る血をひたすら眺める。
自分の名前通りの鮮血に無意識に詰めていた息を吐き出すと、体が震えた。

腕を流れ落ちていった赤は、雪の白に吸い込まれ歪な画を描いた。


…グリーンがこれを見たら、何と言うのだろう。
一向に帰ってくる気配のない幼馴染みが、こうやって自分の体を傷つけていると知ったら。

でも。
もしかしたらグリーンはもうとっくに気付いているのかもしれない。
よく気が付く彼のことだ、むしろ気付いていると考えた方が自然なのかもしれない。

…それでもきっと。
彼は止めろとは言わないのだろう。
僕のことを僕以上に理解している彼だから。

この歪な関係に。
彼も自分も依存しているのだ。
この毒のような生温い血溜まりに、深くはまって抜け出せない。
このままじゃダメだと、分かっているのに。
このままでいいと、僕と彼にとっては、このままでいいのだと。

ただの甘えだと、わかってはいるのだけど。

それでもこのまま死んでもいいと、このとき確かに、そう思ったんだ。

彼と一緒にいられるなら、それでいいと。



「だから、グリーン。…一緒に死のう?」

彼に馬乗りになった状態のまま、首に手をかける。
グリーンは何も言わない。
ただじっと僕の眼を見続ける。
赤の奥の、酸素に触れすぎた血のようにまとわりついて離れない僕の黒が、その視線に共鳴するように蠢いた。

その動きを感じ取ったグリーンは、鳥肌が立つほどきれいに微笑むと、ゆっくり僕の首に指を食い込ませる。
その動きにつられるように、僕自身の口も緩む。



「死んでやるよ。レッド。」


そうして彼は笑みを深くし、消えない痕をつけるように激しく、首を絞める。

負けじと僕も、さらに激しく首を絞める。

視界にはひたすらに嬉しそうな君の笑顔。

きっと僕も同じ顔をしているんだろうと、グリーンの笑顔を焼き付けて眼を閉じた。





終末エデン
(さよなら全て、はじめまして僕と彼だけの世界!)



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病んでる。
相互依存って萌えだと思います。
一人称と二人称が安定しない。
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