リストカット | ナノ
(『小説カキコ』にて掲載。2009/12/24 18:15。)


追い詰められたら、結構やる人多いんじゃないかな。

リストカット。

理由なんて、みんな違うけど。
自分が生きている気がしないから、自分を痛めつけて、血を見て、生きているって実感するために。
血を見て、一種の陶酔感を得て現実から目をそらしたいがために。
私はこんなに大変なの、だから助けてって、言いたいのに言えない表れ。
色々、理由があると思う。
死ぬために、手首を切る。
生きるために、手首を切る。
目的は違うけど、やることは同じ。
もう何度も、何度もした。
理由も、目的もわからぬまま、ただ、それが救いのように思えてきて、何度も、何度も・・・。
薬も飲んだ。睡眠薬を大量に飲んだけど、死ななかった。
すぐに、吐いちゃうんだもん。
体中を掻き毟ったり、包丁で手を刺したり。
もう、限界。
そろそろ、お迎えがくるのかな。
大好きな、昔の彼氏から貰った、ぬいぐるみ。
血で、汚れている。


毎日、毎日、メール。
毎日、毎日、無言電話。
もう嫌だって思ったら、いつの間にか、首を吊ろうとしていた。ただ、衝動的に。
苦しかった。
息が苦しくて、どうにもできなくて、意識が薄れてきて。
下はぐしゃぐしゃになっていて、柔らかい絨毯も汚れちゃって、目玉も出ちゃって。
首には、縄の跡。
真新しい、縄の跡。
部屋には、真新しい、死体が一つ。
その下には、かわいらしい、ぬいぐるみが一つ。



俺があげた、ぬいぐるみが一つ。
カメラと盗聴器が仕込んである、ぬいぐるみが一つ。
まさか、もう死ぬなんて。意外に早かったな。
俺は、カメラの記録をパソコンで、見る。
何度も、何度も、再生する。
彼女が、じわじわと俺に追い詰められて、血を流す。
俺の手で、彼女が死んでいく様。
なんて、楽しいんだろう。
これで、何回目だろう。再生したのは。
これで、何人目だろう。俺が追い詰めたのは。
これで、何本目だろう。俺の自慢のコレクション。
俺は、殺しちゃいない。
ただ、追い詰めただけ。
ただ、仲良くして、大事なものを奪って、振っただけ。
ただ、俺は電話やメールをしただけ。
でも、なんて愉しいのだろう。
何度やっても、飽きない。
俺が人の生き死を、操る感覚は。
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