同居2 | ナノ
あいつは這い蹲っていた。


 ただ、親の借金に依って自らの居場所が崩壊したがために。

 大学も、家も。全て無くなったがために。

 悲しみと不安と怒りとを抱えて、それの重み故に最早立つこともかなわなかったのだ。


 泣きながら事の顛末を明けてくれた“親友”である彼女は、僕にどうすればいい、と問いかけてきた。

 僕だって同じ年齢だ。子供にそんなこと、わかるわけがない。子供×子供は、大人ではない。

 でも僕には大人と相応のものがあった。

 僕は悲痛な表情で涙を流す彼女に心を痛めた。けれど、嬉しい気持ちも同時にあったのだ。

「……金が無いんだよな」

「う、ぅ……う、ん。これから、どうしよう。バイトじゃ、足らないしっ……親にも、頼れない、し」

「……これもなにかの運命か」

「ん、……え?」

「――ならさ。バイトしない?」

「でも、バイトじゃ……住むところも、ない、し」

「大丈夫だよ。住み込みのバイトだし、まかないもあるから」

「…………。……働かなきゃ、ダメだもんな。……紹介してくれる? あ、どんな仕事、なの?」

「うん。……僕と同居するの」

「?……え?」
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