冷たい唇 | ナノ
お題小説 『冷たい唇』
(『小説カキコ』にて掲載。2009/12/05 10:11。)

割とふつう、ですね・・・orz。やっぱり恋愛っぽいのは駄目だよウチは!
あまり意味はこめていません。
ある意味ありそうな話。
今度はもう少しダークにしたいです。


彼と、唇を交わした。
大人みたいな、キスじゃないけどね。
彼の唇は、とても冷たかった。
きっと冬だから冷たくなっているんだよねと、
私は彼の腕を抱きしめ、寄りかかる。
少し歩きづらいけど、そんなのは気にしない。
彼があたたかくならなきゃ、
彼はきっと寒くて辛いだろうから。
彼はとても顔が良い。
初めは、顔とルックス目当てで付き合ったの。
でも、結構性格の方も良くって。
ますます好きになってきちゃった。
「ねえ、今夜私の家でご飯食べない?親はいないけど、変なことはしないでね?」
冗談交じりに笑う。
「ごめん。実はオレ、これから用事があるんだよ。
ごめんな。あっ、でも、十時くらいだったら行けるかも。」
時計を見ると、今は七時。
丁度、夕飯時。
「うん。じゃあ、いつもより手間をかけて、腕をふるって美味しい料理を作って待っているから! 
遅刻しちゃダメだよ? 冷めちゃうからねっ。」
彼は微笑み、「ありがとう。」と言って、
行ってしまった。
「さて、頑張らないと!」
私は家の台所で戦いを繰り広げた。
彼のために頑張らなくては。

鐘の音。
彼が来た!
「はいは〜い! 丁度出来たところだよ・・・!?」
「うん、ちょっと走ったから疲れちゃった。
何作ったの?」
「ちょ、ちょっと! 左腕怪我してるよ! 手当てするからソファに座ってて!」
「え?ああ・・・ありがとう。」
「えーと救急箱を・・・。」
「・・・あの女め。」
(え・・・?)
「・・・今、何か言った?」
「ううん。」
彼の手当をした。
爪か何かで引っ掻かれたような傷だった。
彼と夕飯を食べていると。
「ねえ。」
彼がまっすぐに私を見つめる。
「なに?」
「君は・・・オレのどこがすき?」
「顔・・・かな?」
「他には?」
「ルックスとか・・・。」
「他には。」
「えーっと・・・動物好きなところ。」
「他には。」
「ええ?そんないきなり言われても思いつかないよ〜。ていうか、どうしたの?」
私はおどけて誤魔化した。
だって、彼を選んだ理由は―――・・・。
「やっぱり。」
彼は立ち上がると、笑った。
「え?」
「・・・やっぱり、誰もオレの中身までは見てくれないんだな・・・。
・・・君は、違うと、思ったのに。」
「ごっ、ごめん! そんなつもりじゃ・・・!!」
「夕飯のお礼。オレが、料理を作るよ。」
彼は台所にあった包丁を取り出すと、私を刺した。
「な・・・んで・・・。」
彼はこの状況で、何故か私にキスをした。
いつものように、子供のような、軽いキス。
彼の襟元には、微量の血痕。
ああ、そうか、彼の唇が冷たかったのは―――。
「ねえ、君はオレのどこを見ていたの?」
彼は悲しそうな顔で、涙を浮かべていた。
彼の目は、子供のように純粋だった。
それが、彼の好きなところの一つなのかもしれない。
彼の頭に伸ばそうとした手は、力なく床に倒れた。
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