ヒッチハイク | ナノ
ラストorz。

俺は廃校と化した母校に別れを告げ山の中を進んでいる。
昔とは違って活気も無く、自分の机も好きだった子の机もボロボロで、とても寂しかった。
元々廃墟というものに惹かれていた。人間には如何にもならない時の経過による退廃的な美しさ。静けさ。
また、行きたいと思う。もう毎週末通いたいくらいだ。ただ、最近は仕事が忙しくてそれが何時になるか・・・。
後ろ髪を引かれる。それを払拭するように、車のスピードを上げた。
「・・・ん?」
珍しい。ヒッチハイクだ。乗せてくれと言っている。
女性二人組みで、一人は体調でも悪いのかぐったりともう一人にもたれている。
「どうしました?大丈夫ですか!」
俺が車を止めて声をかけると、元気な方は友達が気分を悪くしたので乗せてくれ、という。
俺は了承した。
ぐったりとした女性を後部座席に寝かせ、もう一人は助手席に座った。なかなかどうして美人じゃないか。
緊急事態とはいえ、女性二人組みとは無防備じゃないか・・・もし俺が悪い奴だったら山の中に連れ込まれてあんなことやこんなことをされてもおかしくなかったかもしれない。
たまたま会ったのだから接点も無い。
まあ、犯罪なんてしたくないんだが。
「逆方向に引き返して頂けます?近道があるんです。」
近道?はて、地元にそんなものがあっただろうか。
とはいえ後ろの女性は動かない。余程具合が悪いらしい。急がねば。
彼女に言われるままに車を動かす。
山の向こうには街があって、そこに向かう。俺は車で山越えなど出来ないと思っていたのだが、俺が地元を去った後に新しく道路が出来たとか。流石に何年もすれば変わるんだなあ。
「っ!?」
狸が急に飛び出してきた。俺は急ブレーキをかけ、なんとかかわす。
「だ、大丈夫ですか!?」
助手席を見る。びっくりした顔がこちらを向いた。怪我はしていないらしい。
あ、後ろの人は!?
「・・・え?」
生気の失せた見開かれた白目。口から糸を引く涎と、はみ出る舌。
腕はダラリとしたままぴくりとも動かず、肌は恐ろしい程に白い。
「考えたことありませんか?」
か細い声が鼓膜を揺すった。心地良いソプラノ。
「ヒッチハイクで乗せてくれた相手に、酷いことされちゃうとか」
「ひっ・・・!?」
何時の間に取り出したのだろう。半ば乾いた血のついた、携帯ナイフを持っている。え、だから・・・なに?なに!?
つまり、
「ヒッチハイクで乗っけた相手が人殺し──」
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