疑心暗鬼(1) | ナノ
疑心暗鬼(壱)


人を信じられるわけがない。
まあ、ある程度は信じないと、なにもできないわけだけど。そこらへんに売っているスーパーの野菜なんかも、人間が作っているし、優秀な機械も人間が作ったものだ。人間を全く信じないと、生きてはいけない。
食事すら取れなくなるからだ。
でも、完全には信じられない。そんなもんだ。
例えいつも笑い合っていて、仲良しだの親友だのと言っていても、いざとなると見捨てるだろう。
だから俺は、信じない。別に、過去になにかがあったわけじゃないが。
もしかしたら、いきなり後ろから押して轢き殺すかもしれない。
だから、俺はなるべく人の後ろで行動する。
親切にしてくる。でも、きっとなにかを企んでいるのだろう。
だから俺は、そいつも避ける。
料理に毒が入っているかもしれない。
だから、食べたくない。だけど、そういうわけにもいかない。俺は、諦める。
あいつ、煙草、吸っている。
だから、俺はそいつを嫌う。どうせ、俺のことを殺す気なんだ。じわじわと。

・・・なんだ?これは。
!・・・・・・。
これは、俺の友達?の奴の英語のテストじゃないか。
なんで、俺の英語の教科書に入っているんだ・・・?
「・・・・・・。」
怒りが、込みあげてきた。
そうか、そういうことか。
きっと、誰かが俺を陥れようとしているんだ。そうに違いない。それで、あいつとの関係が壊れるのをみて、ほくそ笑むんだ。
ああ、そうか。・・・待てよ?・・・俺は見落としていた。
・・・あいつが犯人ということもあり得るじゃないか。あいつが俺と手を切りたいがために、やったことかもしれない。
大袈裟に騒いだりして、俺を盗人扱いし、俺と手を切りもっと良い奴を見つけるに違いない。被害者ともなれば、同情心も普通は少なからず湧いてくるものだ。・・・許せない。
やり方が、きにくわない。
別に、あいつはとあいつが望むんだったら手を切っても良い。・・・だが。
やり方が気にくわない。正々堂々と言えばいいものを・・・・・・。


俺は、ポケットからナイフを取り出した。
そして・・・・・・・・・。



「・・・と、こういうわけなんです。信じてください。俺は、嵌められるところだったんです。だから、仕方なく・・・。」
目に光のない、まだ若い少年が白衣の男に懸命に事情を話している。白衣の男は精神病を担う医者らしい。
そして、医師はやんわりと、優しい口調で彼を宥める。そして、お茶を淹れてくるから、と少年に
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