無言のやつ二 | ナノ
『余りに酷かったので返り討ちにした。
すると仲間を呼び数十人で攻めてきた。
それも返り討ちにしたが流石に怪我をして入院していた。
退院した。
だが今更行けるわけもなくただ見ていた。』

「……へっ!? あ、いや……そりゃまた予想外だな……。」

ていうか数十人を一人で倒すとか漫画かよ!?

「でも、クラス替えもしたしさ、登校してみたらどうだよ?」

『……また虐められるかもしれん。
そうでないにしても口を聞ける者と聞けない者なら普通は前者を取るだろう。』

そんなことない、と言いたかった。
でも、言えなかった。

滝澤は痛いほど少数派側の辛さを知ってるんだろう。
返り討ちにしたとはいえ、虐められたんだ。

その経験を考慮し、相手の気持ちになってみれば……そんな台詞は部外者しか、傍観者しか言えない綺麗ごとなのだ。

片手や片足の人、知恵遅れの人よりかはそうでない人の方がコミュニケーションも取りやすいし、面倒臭くない。

あからさまな暗い過去を背負っている証も見えない。

深く付き合いさえしなければ、そう気遣うこともないのだから。

五時を告げる鐘が鳴る。
……しまった、買い物に行かなければ。

「俺買い物しなくちゃいけないからさ、もう行くよ。じゃあな、またな!」

「……。」

俺が手を振って駆け出すと、戸惑いがちに滝澤は手を振ってくれた。

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