正臨正 | ナノ
朝、目を開けるとそこには視界一杯の臨也さんがいた。
「…何してんすか、臨也さん。」
「んー…夜這い?」
また訳のわかんないことを。取り合えず邪魔だとばかりにその体を押し退けたら、意外にもすんなり体がベッドのすみに転がって、まず始めにこの人の食生活が心配になった。
「…臨也さん普段何食べてんすか。」
寝転がっている状態からごろりと臨也さんの方を向き、お腹をべしべし触ってみる。固い。骨だ。
「ちゃんと食べてるって。」
心配しなくても良いのに。
普段と違う、ふわりとした動作で微笑まれて、何故だか無性に泣きたくなった。
「…別に、心配なんてしてませんけど。」
あぁ、反射的にそんな風に暖かみの欠片もない言葉が出るこの口を呪ってやりたい。そんな風に思うのだけども、心のどこかで冷たい言葉を吐いたところで顔色ひとつ変えずに、むしろ先程よりも笑みを深くしてそう。なんて驚くほど柔らかい声でこの人が笑うことが物足りないと思っている自分がいた。
この人が泣いてる姿が見たいだなんて、いつから自分はこんなにもサディスティックになってしまったのだろうか。
「………嫌いです。」
この言葉だけが、臨也さんの表情を歪ませられる俺の知る限りでの唯一だった。細まった瞳と、緩く上げられた口角はそのままに、静かに困ったように寄せられる整った眉。
あぁ、綺麗だ。
「嫌いです。大嫌いです、臨也さん。」
臨也さんは何も言わない。ただその表情のまま俺を見つめるだけだ。
「大嫌いです。けど。…その顔だけは、好きですよ。」
「…正臣くんってさ。」
意地悪だよね。
愛おしげに細められる瞳を見ていたくなくて彼の目を塞いだ。
真っ暗暗の暗
――――
どうやら私は可愛い正臨正は書けないようです。
正臣くん少し黒くなったでしょうか。
こんなので良かったら貰っていってくださいませ!
リクエストありがとうございました!