緑赤 | ナノ


風が冷たくなってきたな。星が輝き始める時間帯に、ジムから自宅へと続く一本道を歩きながらグリーンは思った。そろそろ風邪が流行り始めるな。そこまで何とはなしに考え連ねて、当たり前のように思考はシロガネ山の幼馴染みのことへと落ち着いた。

「…風邪ひいてねぇだろうな…。」

あの極寒のシロガネ山で、まさかまだ半袖でいるんじゃないかとか、一見無用だと思われることを本気で心配する。普通の人ならこんな心配はしないですむのだが、いかんせん相手はあの幼馴染みだ。少しぐらい心配性な方がちょうどいい。
と、グリーンはひとりごちる。

「…明日にでも行ってみるか。」

仕方ねぇなぁと、緩んだ口元をマフラーで隠しながら。


    * * *


「レッド!」

「…グリーン。どうしたの。」

雪の中に見つけたお目当ての赤は、予想通りに考えられないような薄着で空を見つめていた。

「どうしたのじゃねぇよ!またそんな格好で突っ立って!風邪ひくぞ!」

ズカズカと無遠慮に歩み寄るグリーンは、そのままの勢いで自分の首に巻いてあったマフラーをレッドの首へと巻き直した。

「そんな奴にはちょうちょ結びの刑だ!」

「意味がわからないよ。」

半ば無理矢理巻き付けられるマフラーに対して控えめな声が上がるが、グリーンは問答無用とばかりに出来上がった結び目を満足そうに眺め回す。

「で?この間置いていったはずのマフラーとコートはどうしたという質問に対する言い訳はあるか?」

「………ピカチュウたちに。」

「アホか!」

一応後ろめたい気持ちはあるにはあるらしい。申し訳程度に瞳を動かして呟くレッドにグリーンは思わず叫んだ。それでは意味がないではないかと。
ただそれでも、いつもいつも今度こそはちゃんと叱ってこようと思っていても最終的に許してしまうのは。

「だって。…そうした方がグリーン定期的に来てくれるでしょ。」

この目の前の恋人が、昨日グリーンがしたように顔をマフラーに埋めながらそんなことを言うものだから。
グリーンは何も言えずに雪の上にしゃがみこむしかなくなるのだ。



わかった、


――――
お待たせいたしました!
リクの指定がなかったので好き勝手書かせていただきましたがこんなので大丈夫でしょうか…?
気に入りませんでしたらお気軽に言ってください!
リクエストありがとうございました!
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