悪い日 | ナノ
『悪い日』
――――なんだ・・・?
その音は何を意味するのかも、なんといっているのかすらも聞き取れない程に耳から耳へと通り抜けていく。
ただ、聴覚をなにかが刺激している、ということをぼんやりと頭で感じ取っている、というぐらいだった。
だが、数秒もしないうちに、これは鐘の音だということがわかってくる。
なにか・・・凄く近くで鳴っているような気がする。
・・・鐘?鐘だと?・・・近くには教会も寺もないのに、か・・・?
そう靄のかかったような頭で考えていると、先程よりも少し意識がはっきりしてきたのか、その音は一層耳を侵した。
「だああッ!もーうるさいっつーに!」
音のする方向へ手でチョップをくわえると、なにかがぶつかったような音がすると、途端に音は鳴り止んだ。
「・・・あー・・・・・・。」
俺はだるそうにチョップをかました手の方向を見る。
目覚まし時計だった。
・・・ああそうか、確か昨日ドラえもんの時計からこっちの時計に変えたんだっけ。
調子が悪かったからな・・・。
ゆっくりと上体を起こし、ぼさぼさになっていた髪を視界の外へと隠す。
ふと手が、震えているのが見えた。
「・・・いつものことだろ。」
なんのことはない、いつも、そうだ。
だから・・・気にしなくていい。自分に言い聞かせるようにして、何度も心の中で繰り返してから布団から出る。
「・・・気持ち悪ぃ・・・。」
今日の朝食は何だろう。焼き魚かな。
それとも昨日余ったきんぴらごぼうかな。



「そうですね、昼寝日和で・・・」
「おーい?こんな所で昼寝してたら犬にせいすいクラッシャーされるぞー。」
「うう・・・た、ください、なにも食べてないんです・・・。」
「そりゃ大変だ!奢るからきなさい。・・・ん?」
「刑事さんカツ丼は・・・」
「現実はドラマみたいにはいかないんだよ。取り調べでカツ丼あげたらこっちが処分されかねない。しかし何故?」

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