ロイリン | ナノ
「なにをしているんだね?」
黒髪の軍服を着た男は問い掛けた。未だ二十代程の若人。
「ん?ああ、大佐か。ちょっとこの国の景色を眺めていタ。」
訛りのある口調で答えが返る。
彼は高い建物の上に座っていた。
「感想は?」
「・・・ちょっと、寂しいナ。」
意外な言葉に、少し心の中で戸惑う。
「理由を聞きたいな。」
そう訊くと彼は縛った長い黒髪を靡かせながら此方を向いた。
「建物ばかりで、なんというか・・・冷たい感じがする。
上から見れば、だけド。」
「ほう。」
「シンはもっと緑があって、小さいながらも村で皆で仲良く暮らすんだ。
俺は命を狙われたりしたから、あんまり楽しめなかったけド。」
「・・・・・・。」
「大佐もエドも傷の男に命を狙われてるんだっけ。お揃いだナ。」
彼はにっと笑った。
お揃いでも嬉しくないことなのに、なんとなく温かい気持ちになる。
「そうだな・・・。
もう少しシンについて聞きたいな。君、私の部屋でお茶でもどうだね?そこは寒いだろう。」
「なら、甘えさせてもらおうかな。嬉しいねえ。じゃあ、其処で待ってテ。」
「ああ。」
俺には冷たいところがお似合いなんだろうけどね、そう呟いたが誰にも届かなかった。
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