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部屋でうだうだしているか、恐ろしいほどの集中力で原稿を書いているか、ただパソコンの前に座り何らかの作業をしているか、そして部屋のどこかで死んだようにぶっ潰れているか。
俺がここに来てやったときの九十九屋の様子をパターン化してまとめると大体こんな感じだ。
思えば俺が来た時間帯が昼だろうと夜だろうと、こいつが食事をしているところには一度も鉢合わせていないように思う。

「九十九屋。」

「ん?」

そう呼び掛ければ九十九屋は律儀にもパソコンをいじっていた手を止めて椅子ごとこちらに向き直った。
眠いのだろうか、いつもより少しほにゃほにゃとした笑みのまま首を傾けていた。

「お前はたまには外に出ろ。」

「…そうはいってもなぁ。」

出る必要がない、と。
一般人が聞いたら確実にニートか何かだと思われるようなことを平然と言ってのける。

「お前それでよくこんなに収入あるよな。」

「お前と違って要領が良いからな。」

軽い皮肉を込めてため息混じりにそう呟いてやれば、しれっと返ってきたのはそんな答え。
こいつ本気で一発殴ってやろうかとも思ったが、そんなことよ取り敢えずこいつを無理矢理にでも外に出そうと腰をあげた。
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