呼吸の仕方を忘れたときのための対処法 | ナノ


ぼけーっと。
自宅の窓から空を見上げる。
何故だろう、今日は、いや最近は何かやる気が起きない。
仕事がたまらないように色々と動き回ってはいるのだけれど、それだけで精一杯で他のことまで手が回らないのだ。

思えばここから上を見上げたことなどなかったのではないだろうか。
いつもいつも、神様気取りで下を見下ろしていたから、ここより上があることになんか気を配っちゃいなかった。

そこまでつらつらと考えて、臨也は口許を自嘲気味に緩めた。

見上げた空は曇っていた。
雨こそ降ってはいないが、太陽はその姿を現さない。
雲の切れ間から差し込む光でもあれば少しは趣を感じられたのだろうが、お前にはそれすらもったいないとばかりに低い雲が覆いつくしている。

「……ハハッ。」

不意に込み上げてきた笑いに逆らわず声をあげる。
狂ったように笑う。
一度笑い出すとなぜだか止まらなくて、喉が悲鳴をあげ始めたにも関わらずひきつった笑いをあげ続けた。
そんな永遠に続くかと思われる時の中、一向に収まらない喉の渇き。
さぁどうやって息を吸おうかと思案していたところ、突然目の前が黒に包まれた。
目と腰。それと背中に感じる生暖かい感触に、後ろから抱き締められているのだと気付くのにそう時間はかからなかった。

「折原、泣くな。」

うるさい泣いてない。
後ろに立つこの男にそう言ってやるために息を大きく吸い込んだ。


呼吸の仕方を忘れたときのための対処法


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精神的不安定臨也さんと精神安定剤九十九屋さん。
ちなみに臨也は泣いてます。
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