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「九十九屋!お前はいい加減部屋を掃除しろ!」

書類やら、コードやら、本やらで足の踏み場もないくらい乱雑とした部屋を見渡して叫ぶ。
この部屋の持ち主である九十九屋は、紙に侵食され始めている無駄にでかいベッドの上で死んだように動かない。
これもよくあることだ。

仕事が重なって一週間ばかしここへ来ない日が続くとすぐこれだ。
その度に掃除するこっちの身にもなってみろ。

書類をまとめつつ、応急処置とばかりにコードを部屋の隅に押しやる。

あぁ、くそ。
なんで俺がこんなこと。
全部こいつが悪い。
あの日、俺がこいつとはじめて顔を合わせた日。
ショートしたままの思考回路で訳がわからないままに帰路に着かされて、いつの間にか手には鍵が握られていて、それもカードキーで。
どうしても気になってカードキーの示す場所に来てみればこの状態で九十九屋が死んでいた。

それ以来なにかと気になってここに来てしまう。

どうやらこいつは決して誉められたものじゃない俺以上に不規則な生活を送っているらしい。

書類の束を抱えたまま、何度呼び掛けても反応しない九十九屋にため息をこぼした。

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