KAITO | ナノ


「・・・・・・。」
ど、どどどどうしよう、俺・・・。
 声が  出ない

バタンと、ドアが開く音がした。ミクだった。
「KAITOお兄ちゃん、お昼ご飯できたよ♪」
ミクは可愛い笑顔で俺を見る。そして、眉をひそめた。
「・・・・・・。」
「お、お兄ちゃん・・・?」
ミクは不安げに俺の顔を覗き込む。
「お腹・・・痛いの?それとも熱があるんじゃ・・・。」
「・・・・・・。」
俺はとにかく冷たく無表情でいることを努めた。俺は機械なんだから・・・感情を抑えるくらい、わけがないんだ。うん。
「「イェーイ!鏡音一家さんじょー!!」」
勢いよくドアを開けて現れたのはリン、レンだった。
「もーっ早く来ないとご飯冷めちゃうよ!」
「KAITO兄が来るの待ってあげてるんだよ?」
二人とも膨れっ面で抗議する。
・・・とりあえずお腹も空いたし、ご飯ぐらい食べようかな。
俺は部屋を出ようとして―――背中に強い衝撃を受けた。
「やっりィ!」
「成功!」
息ぴったりにハイタッチをして、リン、レンが飛び跳ねる。
「だ、大丈夫!?KAITOお兄ちゃん! 」
大丈夫だよ、心配しないで。
「・・・・・・っ。」
ミクに言いたかった言葉は、伝わることなく呑み込まれる。
俺は無視するかたちで居間へ向かった。



「え、あれ・・・?」
「いつもは怒って、笑って許してくれるのに・・・あれ?」
「や、やりすぎたのかな・・・?」
「そうかも・・・どうしよう、リン。」
オロオロする二人を見据えて、ミクは言った。
「今日はKAITOお兄ちゃん具合が悪いみたいなの。だからそっとしてあげてね。あと二人はさっきの謝ること!」
「えっ!?具合悪いの・・・?」
リンが心底驚いたように聞き返した。
「うん・・・そうみたい。」
「悪いことしちゃったな・・・。」
レンは頭を掻いて困ったようにリンと顔を合わせた。
「ねえ。」
「謝ろう。」
リンとレンは同じように頷くと、パタパタと廊下を駆ける。
「ミク姉ありがと!」
「ミクお姉ちゃんありがと!」
「うん・・・。」
(私も行かなきゃ。)

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