このベクトルが突き刺さって彼をぐちゃぐちゃに出来たらどんなにか。 | ナノ
「狂ってますね。」
自然と浮かぶ嘲り、憎悪、嫌悪、侮蔑、嫉妬。
俺が持ち得るありったけの負の感情を込めて見やっても、目の前の男は涼しい顔でその全てを飲み込むように笑った。
あぁ、狂ってる。
「…あんたは狂ってる。なんで笑ってる。なんで笑える。自分が愛してやまないものに嫌われて。嫌われて嫌われて。それでも笑えるやつは異常だ。自分が愛してやまないものを、簡単に壊してしまえるやつは異常だ。」
「それでもいいさ。」
そら見てみろ。
こいつはどんなに俺に嫌われていようとどうでもいいんだ。
顔色ひとつ変えやしない。
「俺はただ、人間が大好きなだけだからね。」
もちろん、君のことだって。
自分がどんなにこの男を嫌おうと、この男にとってはただの“愛するべき人間”でしかなくて。
憎悪は余計に募るばかりだった。
このベクトルが
突き刺さって
彼をぐちゃぐちゃに
出来たらどんなにか。
(いっそのこと嫌ってくれればいいのに。)
――――
青臨なぜ増えない。