落下音2 | ナノ
「もしもし?
チサト?どうしたの?」
「…もしもし、おれ…。」
機械越しにも伝わる、チサトの震えた声。
いつもあんなに元気なチサトが…。
とりあえず、なるべく落ち着いた声で、そしていつものように話しかける。
私にかけてきてくれたってことは、私を信じてかけてきてくれたということじゃないの…?
…私が、しっかりしなきゃ…!
「どうかしたの?
珍しい。」
「…………。」
「…………。」
…しばらくの沈黙。
今の私は焦って焦って…一秒が十秒にも一分にも感じられた…。
堪えきれず私が口を開けかけた時、それを遮るようにチサトが言った。
「ひとりは、いやだ。」
…チサトが『独り』?そんなわけ無いじゃない。
家族とも仲が良くて、高校でも友達ができたって言っていたじゃん。
…どういうこと?
「もう疲れた。ただ、たーちゃんにだけは聴いて欲しかった…。」
「チサ…、」
「聴いてくれ、最期の『おれの』話。」
…目を閉じて、ゆっくりと息を吐く。
最悪の事態は、なるべく考えずに…。
「…わかった。」

私は…。
捜そう。
黙って聴こう…。
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