開発薬壱 | ナノ
「あー、腹減った・・・なんで弁当も金も無いのだろう・・・・・・。」
昼時。皆は定食屋や食堂に行って美味しい昼ご飯を食べていることだろう。
何時もなら、ウチもそうしているはずなのだが・・・財布の中身は昨日ガンガンとジャンプと漫画の達人と単行本を買った所為で消え失せてしまった。
しかも弁当は昨日仕込んでおくのを忘れていたから持ってこれなかったし・・・。
かと言って誰かに奢って貰うのもなあ・・・。
「しかしエネルギーは補給せねば午後の勤務が大変だしなあ・・・・・・。」
どうしよう、本当。諦めるわけにも・・・。
「あれ、どうしたの〜?突っ伏しちゃって。」
声をかけられたので仕方無くそちらへ顔を向ける。
「ん・・・?ああ、レナか ・・・なんでも無いよ・・・・・・。」
「食べ物が無いんだっけ?」
「え・・・。」
誰にも言っていないはずだが・・・。
「新井がそう言ってたわよ。監査役だから気づいたんでしょ。だから賞味期限切れ寸前の余ったパンとか貰ったの。ご飯食べるでしょ?」
「新井が?・・・。ありがとう、いただくよ。助かった。」
はあ、これでエネルギーの心配は無いぞ!良かった良かった・・・。
「はい、これ。」
差し出されたのは、パンではなく弁当。
しかも手作りらしい。
「え、これは・・・?」
「ちょっと食べてみて欲しいの。美味しいかどうか気になるし、こっちの方がボリュームあるでしょ?」
「う、ん・・・でも良いの?」
ウチが問うとレナはにっこりと微笑んだ。
「もちろん。友達でしょ?」
レナの顔を一瞥してから、弁当箱のフタを開ける。
「・・・・・・いただきます。」
少し焦げていたり薄味だったり濃い味だったりするが、まあいける。
レナはパンを食べ、漫画の話を一緒にして昼休みを終えた。
「ありがとう。今度なんか奢るよ。パン四カ月分とか。新井にも。」
「良いのよお礼なんて・・・まあ、失敗したのはちょっと残念だけど。」
「え・・・?」
「な、何でもない、こっちの話!」
・・・なんか怪しいなあ・・・まあ、良いか・・・仕事をしよう。


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