(つがサイ+デリ雄)(DVD9巻の派生キャラ、デリ雄が出てきます。デリ雄はこの話ではデリックと呼んでいます)












俺が新曲の収録から帰ると、サイケが誰かと話していた。妙に親しげに話していて楽しそうだ。
何となくイラっときて、俺はサイケと誰かの会話を遮るようにして声を掛けた。

「サイケ、ただいま」

すると、サイケは目をまん丸に見開き、話していた相手と俺を交互に見比べて、

「えっ!?えっ、つがるが、ふたり!?」

と混乱した様子で声を上げた。
俺もサイケの言葉にクエスチョンマークを浮かべる。
俺が、二人……?
と、直ぐにその言葉の意味が分かった。

「初めまして、津軽先輩。俺はサイケデリックドリームス2。通称デリックだ」

軽く一礼をしながら自己紹介をしたそいつの顔は、俺にそっくりだった。ピンクのシャツに白いスーツという奇抜なセンスの服装以外は、顔も髪型もまるで俺をコピーしたかのような作り。

「えっと、どういうこと?キミは、つがるじゃないの?」
「俺は最新型ソフトのデリック。こんな古いソフトの奴と一緒にしないでくれ、マイエンジェルサイケ」
「えんじぇる?」
「ああ、アンタはまるで天使だ……。惚れた」

ぞくり、と背筋が震えた。
何だこいつ!何でそんな歯が浮くような台詞を恥ずかしげもなく言えるんだ!?
止めてくれ、俺の顔で、俺の声で、そんな恥ずかしい台詞を言うな!!
それだけじゃない。更にデリックはサイケの手を取り、その手の甲に口付けをした。

「つ、つがるぅ……」

サイケの縋るような視線が俺に注がれる。サイケが動揺するのも無理はない。俺はサイケにゾッコンだが、それを行動に表せるような器用な性格ではないからだ。
でも目の前でサイケが襲われているのを見届けられる程 器の大きい男でもない。

「お、おい!その手を離せ!」
「あ?何すか、津軽先輩。俺のサイケに何か用でもあんのか?」
「わっ!?」

デリックはサイケの腕を引っ張り、ぐい、と抱き寄せながら挑発的に笑う。
ビキ、とこめかみに青筋が浮かぶのが自分でも分かった。

「サイケは俺のものだ!」
「つがる……っ」

デリックの腕の中で眉をハの字に下げて涙目になっているサイケを無理矢理デリックから引き剥がす。

「サイケがアンタのものだって証拠はねえだろ?」

デリックは怪訝そうに言いながら煙草に火をつけた。
その紫煙からサイケを守るように強く抱き締める。
と、サイケがデリックを見上げて、

「俺は、つがるのこいびと!」

きっぱりと言い放った。
サイケの言葉に俺もデリックも面を食らう。まさかサイケの口からそんな台詞が飛び出すとは思わなかった。
というより、恋人という認識があること自体予想外だ。

「つがるは、俺の前でたばこ、吸わないもん!」
「じゃあ煙草を止めたら俺と付き合ってくれるか?」

サイケのヘッドホンのコードを指に絡めながら、またもや軽い口説き文句を言うデリック。俺が反応するよりも早く、サイケがふるふると首を振って言う。

「ごめんなさい、デリック……。デリックは、つがるじゃないからだめなの」
「……そうか」

思いの外あっさりとデリックは引き下がった。うっすらと笑みを浮かべているその表情はどこか切なげで、もしかして本気でサイケを狙っていたのかと思う程。そう思っていた矢先に、デリックが俺に向かって手招きをしてきた。

「……んだよ?」
「安心しろよ、津軽先輩。俺、他に好きな奴が居るからよ」
「は?」
「その子、サイケにそっくりで……つい、な」
「つい、で人のもんに手ェ出してんじゃねえよ」
「悪い悪い」

デリックに本命が居ると知って安心した。デリックの軽々しい口説きも行動も、良く言えば素直な言動が羨ましいと思ったからだ。そしてその甘い言葉の数々にサイケがほだされるんじゃねえかと、少しだけ不安になったりもしたから。

「でも油断してっと俺が取っちまうからな?俺の好きな奴、あと一ヶ月以上もメンテナンスするらしいからよ。それまでにもしかしたらサイケを好きになっちまう……ってこともあるだろ?」
「サイケは俺のだ!」
「せいぜいサイケから目ェ離すんじゃねえぞ」
「うるせえ、分かってる」
「じゃあ、今日は帰るわ」

やっと帰るのか。
と安堵の溜め息を吐いたのも束の間。

「また明日も来るから、待っててな。マイスウィートハニーサイケ」

いつの間にかサイケの目の前で方膝をつき、またもやサイケの手の甲に口付けをしようとしているデリック。
俺は慌てて二人の間に割り込み、

「二度と来んじゃねえ!」

と叫んでデリックを追い払った。



「……デリック、ほんとにまた明日もくるのかな?」

少しだけ不安の色を滲ませるサイケを、ぎゅうと抱き締めてやる。

「来たとしても、俺が守るから」
「つがる、かっこいい……、すき」
「……っ、俺も、サイケが好きだ」

素直に言葉に表すと、サイケは嬉しそうに笑みを浮かべた。





















20101109
デリ雄が気持ち悪いくらいタラシですみません、まじすみません、楽しかったです。やまなしおちなしいみなし。しかし楽しかったです^//^ちなみにデリ雄の好きな人は勿論ユニたんのことです



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