(学パロ)




どこまでも、果てしなく広がる青い空。その空の下、俺達は自転車を漕いで帰宅中。
夏休みだと言うのに朝から部活があり、数十分前まで炎天下の中グラウンドを走り回っていた。

「ねえ、俺喉渇いたー」

俺の自転車の後ろに乗っている臨也が声を上げた。
臨也を乗せて自転車を走らせるのにも慣れたもので、今は後ろの荷台の重みが当たり前となっている。

「あ?」

「部活の時スポーツドリンク飲み干しちゃったんだもん」

「家まで我慢出来ねぇのかよ」

「出来なーい」

臨也の腕が俺の腰に回り、ぎゅう、と後ろから抱き着かれた。制汗剤の匂いが鼻を擽る。惚れた弱味というのはこのことか。臨也の我が儘を可愛いとさえ思ってしまう。

「ったく……仕方ねえな」

自転車を止めて自販機を探してみたが、見当たらない。右を見れば海が広がっているだけだ。

「あ!そうだ、海の家行こうよ!海の家!」

臨也はそそくさと荷台から降りて、俺の制服の袖をぐいぐいと引っ張る。

「分かったから引っ張んな!シャツが千切れたらどうすんだ!」

「……じゃあこれならいい?」

臨也は俺の手をするりと握り、上目遣いで小首を傾げた。

「か、勝手にしやがれ!」

「シズちゃんの手、汗ばんでるー」

「るせぇっ」

ああ、暑ィ。グラウンドで走り回るよりも身体が熱くて仕方なかった。



「おじさーん、ラムネ頂戴!シズちゃんは?」

「じゃあ俺カルピス」

「あいよー」

海の家でラムネとカルピスを買って、砂浜に腰を降ろした。きゃあきゃあと子供達の騒ぐ声が聞こえる。夏休みと言えどまだ序盤のせいか、広い浜辺には近所の子供達しか居なかった。
隣に目をやれば、喉を鳴らしながらラムネを飲んでいる臨也。

(目に、毒だ……)

上下する白い喉と、汗で首筋に張り付いた黒い髪を見ていると、変な気を起こしそうで慌てて目を反らしてカルピスを喉に流し込んだ。

「はー、生き返ったあ」

ぷはっ、と臨也がラムネの瓶から口を離し、こてんと俺の肩に寄りかかってきた。途端に跳ね上がる鼓動。

「……っ、んだよ、暑苦しいだろうが」

俺が本当は満更でもないことを臨也は分かっているのか、離れる様子はなかった。

「ねえ、シズちゃーん。今度、ちゃんと海来ようよ」

「は?ちゃんとってどういう意味だよ」

「だから、水着着て泳いだりしようってこと。ドタチンと新羅も誘ってさ」

「じゃああいつらに言っておくか」

「あー……、でもなあ」

自分から言い始めたくせにあまり乗り気じゃないようだ。何 考えてんだ、と臨也に視線を移す。目が合った瞬間、臨也はにこりと笑って――

「俺、シズちゃんと二人だけの思い出作りたいな」

と、言った。

「……っ、」

ぐわぁっ、と顔が熱くなった。
ぱくぱくと口を動かすが、言葉に出来ない。こいつ、可愛すぎる!
あー…、くそ。

「シズちゃん……?んっ」

気付いたら臨也にキスしていた。直ぐ近くで聞こえる波の音が、ここが外だと知らせるがそんなものどうでもいい。
ちゅ、とリップ音を立てながら何度も小さく口付ける。さっき飲んだラムネがよく冷えていたせいか、臨也の唇が冷たくて気持ち良かった。

「シズちゃんのちゅう、甘い……、カルピス味」

臨也が俺の唇をぺろりと舐めてから離れていった。

「臨也、今度遊びに行こうな」

「うん!楽しみだなぁ、楽しみだなぁ、楽しみだなぁ」

砂浜に伸ばした足をぱたぱたと動かしながら、臨也が無邪気に笑う。
その笑顔はダメだ、何つーか、ムラムラすっから。
しかし流石にここで襲う訳にはいかないと自分にストッパーをかける。

「暑ィ」

「暑いねぇ」

火照った身体を冷まそうとカルピスを飲み干してしまおうと思ったが、何故か俺のカルピスを臨也が飲んでいた。

「……おい」

「あ、ごめんね?シズちゃんとキスしたらカルピス飲みたくなっちゃってさあ。ほら、俺のラムネ飲んでいいから」

はい、とラムネを渡される。
暫くその飲み口を見つめ、そしてぐいっ、と残りのラムネを飲み干した。
炭酸がぱちぱちと弾けて、しゅわしゅわと喉を通って溶けていく。
喉がきゅうとするような冷たさ。
だけど、炭酸は身体の熱を冷ましてはくれなかった。





























20100719
ラムネを飲ませたかっただけです(笑)楽しかった!またこいつらを海に行かせたい^〇^それにしても静雄はムラムラし過ぎだ



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