この手で。この足で。この声で。
その手を。その涙を。その温もりを。
掴みに行きたかったんだ。
拭いに行きたかったんだ。
抱きしめに行きたかったんだ。
そばにいることを。
隣にいることを。
想っていることを。
ちゃんと伝えるから。
俺がここにいるから。
一人を選ばないで欲しい。
自分は強いからと思わないで欲しい。
流れた涙を疑わないで欲しい。
その手をどうか、伸ばして欲しい。
「何でいるの?」
泣くつもりなんてなかった。
そう口を開いて初めて自分の声が震えていることに気が付いた。こみ上げたものをこらえるにはもう手遅れだった。
久しぶりだった。
友達に会うのも、声を聴くのも、その姿を目にするのも。
「何でいるの? 丸井、」
握られた手が。
伝わる温もりが。
真っすぐな目が。
「そばにいたかったから。」
苦しいくらいに 沁みたんだ。
一人だと思っていたかった。
この足ひとつで歩いていきたかった。
誰かの優しさに 触れてなんてしまいたくなかった。
「―――……、」
ちがうの
ずっと
誰かに想って欲しかった。
「俺がそばにいるから」
to you