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君待ちの春






春が来た。


出会いの季節。別れの季節。


何かの歌にもあったように思う。


でも俺にとっては、





「謙也くん!」





「あきら!」


まるで桜吹雪の中から現れたように、桜の花びらを身に纏いながら駆け寄ってきたあきらを俺はしっかりと抱きとめた。


「暫く見ん間になんや大人っぽくなったなあー」


「制服のせいじゃない?」


「んーん。中学生臭さが抜けた。」


「そんな一ヶ月そこらじゃ変わらないよ」


「謙也は高校デビューしたあきらちゃんが悪い男に引っかからんか心配なんや」


「うっさいわ!」


近くに立ってた白石がくつくつとおかしそうに笑いながら言う。


「迷わんで来れた?」


「うん!まあ謙也くんがあれだけ何度も電話くれたらね」


「や やって心配やってん……」


「心配しすぎっすわ。過保護な親か」


「うっさいっちゅーに!!俺はなあ!とにかく早くあきらに会いたくて…っ」


「「「ぶふ」」」


「笑うなあああ!!!」






大好きな、大好きな、俺の可愛いあきら。






今日からまた二人の季節が始まる











END