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眩しい光の中にいた3年間だった




夢中で追いかけたボール


独りで立ち向かう 俺のフィールド


死ぬほど辛かった練習漬けの毎日






それでも その時間が愛おしいと感じることが出来たのは






お前が居たから


お前が俺の背中を支えてくれたから
















振り返れば君がいる














「ここで諦めんの!!?」







あんなに怒ったあきらを見るのは初めてだった。


…………あんなに、悲しそうな顔をしたのも……。






「……なんだよ」






あの時の俺は何もかもがどうでもよくなってたんだ。


自分が惨めで惨めでしょうがなくて。


どうにでもなっちまえばいいって。






「ここで諦めたら、何もかも終わりになっちゃうんだよ…?」


「……諦めるも何も、俺はレギュラーから外されたんだよ。氷帝の掟は絶対……知ってるだろ」


「1度外されたからって何……這い上がればいいじゃない、何度でも!」


「俺はもう必要とされてない。」


「自分の手でまた必要とされるように努力するのよ!」


「………無駄、なんだよ……。」




あきらの拳が震えてるのがわかった。


殴られるかなと思ったけど、あきらは唇を噛みしめながら言葉を紡ぎ続けた。


今思えば、あきらも涙をこらえていたんだ。


でもあのときの俺の前では 流しちゃいけないって思ったんだろう。





「あんたが…っテニスに賭けてた想いってそんなもの!?」





「…………。」


「私知ってる……。1度レギュラーの座を手にしたのだって、単なる運じゃないじゃない。亮が努力して努力して、他の200人から勝ち取ったものじゃない!……あっさり譲るの…?」


「……っ譲りたくて、譲ったんじゃねぇ……」





俺はそんなあきらの前で、涙を流した。


幾筋も、幾筋も、勝手に流れては落ちていく涙をどうしようも出来なくて。






「私はちゃんと知ってるから……亮の想いも努力も知ってるから…!」


「……っ」


「もう1度立ち上がろう!?私が背中を支えるから……っずっと…!」


「…………俺は……っ」

















『まだ終わりたくない』 と、 あきらの胸の中で必死に絞り出した言葉。


潰れてしまうんじゃないかってほどあきらを抱きしめて、


あきらもまた俺を痛いくらい抱きしめてくれて、


もうこの涙を最後にするんだと 心に誓った。


























あの日からどれだけの時間が流れたのだろうか。


もう何年も前のことのような気がするのに


ちゃんと考えてみればほんの数か月前のことだ。







でも、もうあの日の俺ではない。


無様で惨めな俺ではない。







カッコは悪いかもしれないな。


這いずりまわって、プライドを捨てて、俺はこの場所へ戻ってきた。


俺が戦うべきフィールドに、戻ってきた。





そして俺は戦う。


自分と、仲間のために……







あきらのために。






















「あきら!」












そして 今日もあきらは俺の後ろにいる












「亮!コンディションは大丈夫?」


「ばっちりだぜ!」


「亮なら、絶対大丈夫だから!勝ってみんなで全国の頂点に行こう…!!」


「……おう!」


「長太郎と2人じゃなくてさ、みんなも一緒に2人と戦ってるからね!?」


「わぁーかってるよ!」


「それに……」


「…………。」








「あんたの後ろには、私がいるんだからね!」








眩しいくらいに笑いかけて


後戻りなんて許さない!って言ってるみたいに


いつも俺の背中を押すんだ、お前は。








「……頼りにしてるぜ、あきら!」












そして俺は向かう



自分のフィールドへ







君を背中に感じて











END





孤独なコートへ足を踏み出しても、振り返ればちゃんと安心できる存在がいるっていうのをテーマに書かせてもらいました。
最後のシーンは全国青学戦のシーンだと思っていただければ幸いです。