Koneta! | ナノ
*嫉妬兄弟の華麗なるなんたら

兄と弟が、いた。
兄がある日ひとりの娘を拾ってそのまま自分の情婦にしてしまった。
「あゝ嫉妬を受けた我が感情はかくも甘美なものであったか」
娘が兄と弟の仲にねんねのような嫉妬の声を上げた時、兄は共に甘美な痺れを覚えたという。
「焔に舐めとられ炭になるのが常であったのに」
そう語る弟は娘を「じい」と眺めてすこし笑った。
「おれが今度は嫉妬してしまう」
誰に、とは言わず弟は水平線にすっかり目線を移してしまっていた。


*広島弁講座(赤犬視点)

「あらつまりは貴女はファースト・レディになるワケね……貴女のようなお嬢さんに……務まるかしら」
そう言われた瞬間に家内が目をこれでもかと丸くしたのはよォ覚えちょる。
元々は硝煙も鉄臭さにも縁の無いところから半ば強引に、攫うように娶ったのが家内じゃった。それでも生涯添い遂げると言うた、しなやかさを持つ女じゃが面と向かって誹りを受けるとは思うちょらんかったらしい。
鬼の居ぬ間になんとやら、か。儂がおらん間にチクチクと棘を飛ばすのは道理が違う。将校の妻として完璧であれと言うのは分からんでもないが、アレは違う。
アレが求めるのは咲きたての花が産まれたての赤ん坊が持つような完璧さであって、儂が求めるものは研磨にかけられた水晶じゃ。
「私ひとりではきっと無理でしょう。でも主人がそう望んでくれるなら──」
「意地でもやり遂げるけェのォ。儂の嫁は」
ファーストレディに程遠くとも夫婦としては息の方はピッタリじゃと、目配せしたのはどちらが先じゃったろうか。


*イヌサルキジと

詳細は省くが要約すると参った事になった。
場所は海軍本部、重要人物は四名である
──大将 サカズキ、通称赤犬。
──同じくボルサリーノ、通称黄猿。
──同じくクザン、通称青雉。
──そしてつい先日大将付きの秘書となった、ごく一般人のお嬢さん。
である。
通称なんぞこの場において特に何の特典も無いのだが呼びやすいのでそう呼ばせてもらおうか。揃いも揃っていい歳の成人の男である。……そして、揃いも揃って一人の女に求愛した。変な魔法にかかった訳ではない(寧ろ怪しげな輩は速攻で捕縛して逆さ吊りにするメンツである)、たまたま惚れた女が一緒だっただけである。恐らく何億分の一の確率を引き抜ぬいてしまっただけであるが……就任しているポジションと個々の能力の高さがアダとなった。
「秘書さんが襲われて火山が噴火した(原文ママ)」
「口説いたモブに氷河期が訪れた(物理)」
「光の速さで備品がどんどん壊されていく(誇張なし)」
お嬢さんに過保護になっている面々であるから、歩く破壊兵器な面々であるから、プチ天変地異が「今日はよく晴れたわねー」感覚で巻き起こっている。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -