◎ツンツンローからデレデレローへ、華麗なる転身

「ごめんねロー。」
「知らねェ。」
「道を教えてただけだったのよ。」
「フン。」
「こっち向いて？」
「……。」
「……私より年下の女の子だったし…」
「性別なんて関係あるか。」
「ロー以外の男の人と二人きりでお話するのは気を付けてるよ…？」
「誰かと話したのか…？！」
「も、ものの例えだよ…ローが嫌な気持ちになるって知ってるから、」
「女とも二人きりは駄目だ。」
「次からはローを呼ぶからね…？だから今日はヤキモチやかせちゃってゴメンね？」
「当然だ。……おまえはおれだけ、いればいい。」
「んっ、ふ、ぁ…キス、待って…」
「いやだ。」


◎照れる副船長

【長身の人は頭を撫でられるのに慣れていないので撫でてあげるととても喜びます】
「……へー…」
「何を読んでるんだ？」
「ベック、ベック、ちょっとだけそこに座ってほしいの。」
「ん？…あぁ。ほら座ったぞ。」
「よし、よし。」
「……まて、待て待て。どうした急に。」
「いつもお仕事お疲れ様です、の意味を込めまして頭を撫でております。…あ、いやだったらごめんなさい。」
「嫌、とかじゃ、ないがな…この状況は、どうなんだ……」
「もしかして……恥ずかしかった？」
「不慣れだからな。そりゃあ、な。」
「ふふっ、ベック照れさせちゃった。やった。」
「してやったり、か。……今に見てろよお嬢さん。」

主に夜。主にベッドの上とかで。


◎ベックマンの嫉妬(大頭と事故キス編)

「きゃ？！」
「おっ？！」
  あの男なら避ける事ができた筈だ。では、何故逃げなかったのか。
  避けたら彼女が転んで怪我をしてしまう？それもあるだろう。
  下心があったから？いや、あの人に限ってそれはない。彼女がおれのものだと十二分に理解している筈だ。
「ベン・ベックマン、落ち着け、これは事故だ。不幸な、偶発的に起こった事故。OK？」
「………あァ、そうだな……」
「ヒェッ、」
「あ、あの、あのあの、ベック、」
「……コッチに来い…」
「あ、はいっ……いた、いたたた、ベック唇そんなに擦らないで…」
「消毒だ。」
「オイオイ…おれは汚物かなんかか。」
「んむむむ。」
「あとでもっとしっかり消毒しような？」
「んむむ。」
「ひでぇ。」


◎怪物vs天夜叉
「『黄金の月』ってのはあんただろう？」
「……あなたは…ドンキホーテ、ドフラミンゴ…」
「どうです？可愛いらしいでしょう、私の伴侶は。ようこそ『天夜叉』様。」
「……あぁ、実に興味深い。異海の人間を見る日が来るとは！どうだ、ドレスローザに遊学してみないか。」
「と、唐突ですね、」
「…いやァ、私は妻がいないとどうにも調子が出なくて。はは、金は腐る程ありますが、妻ばかりは。私の癒しですよ。」
「星では無く、月、と呼ぶ癖に、か？……ところであの噂は本当か？怪物は昔むかし一等星を取りこぼした、とかどうとか。」
「ハ、ハハ。」
「……いえ、私からテゾーロに、夫にお願いしたんです。私は『月』がいいって。」
「そういう割り切りが出来るおんなは嫌いじゃねェ……」
「いえ、割り切るとかじゃ、なくて。」
「ゲームをするまでもなく、私の妻は私のものという事ですよ。」
  賭けをするに値しないと、オリーブ・グリーンは愛しの月を抱き締めて黄金の輝きの中に消えて行くのだった。
  鬼は、この輝きに背を向ける。「またな。」と呟いて。


◎嫁が酔っ払ったロー

「ふふっ、ろー…」
「……誰だこいつに酒を飲ませたのは…」
「どうして怒ってるの、ろー。」
「どこかの誰かは酒が入ると、警戒心が緩くなって誰彼構わず愛想を振り撒きにまくるからだ。」
「そうなの？」
「そうだ。」
「みんなに笑っちゃだめ？」
「そうだ。」
(((言い切ったよこの束縛キャプテン！！)))
「ろー、にも？」
「おれにはいい。」
「そっかぁ、よかった、ろーに笑っちゃだめだったら、わたしさみしくて、苦しくなっちゃう。よかったぁ…」
「……くっ…。」
(((クリティカルヒットだコレー！お嬢ちゃんのかいしんのいちげきがキャプテンのハートを殴り飛ばしたー！！)))
「ろー？」
「……その、顔は……あぁもういい、部屋に帰るぞ。」
「はぁい。ね、ね、ろー、だっこして…？」
「……くっ…！」
(((クリティカルヒットだコレー！)))

◎レイリーにいじわるされる

「くー……」
「可愛い寝顔だなァ……ふむ。」
「ぅむ…」
  この老爺……失礼！いけてるオジ様、かの大海賊団副船長を務め上げた大物である。で、あるが先ほどからベッドに寝そべりすよすよ眠る娘にちょっかいをかけていたのであった。
  因みに。今は片手でぷにぷにと、そりゃあもうむにむにと彼女の頬っぺたを揉んでいた。
「む、む、ん……」
「わはは。」
  むにむにむにむに。
「…も、もうっ…！いじわる…！」
「わはは、寝たふりをしても無駄だよお嬢さん。」
「ね、寝たふりじゃなくて、これは起こされたって、言うのです…っ」
「さて、本当かね？嘘つきはいじめてしまうよ？」
  今夜はいじわるね、と頬を吹くらませる娘に口づけを落とした男の二つ名は冥王。数多の海賊達が震え上がらせた『冥王』は締まりの無い笑顔を見せ、またよからぬ悪巧みを考え始めていたのだった。


◎唐突に始まる芸能界パロ

お嬢さん→ある日芸能プロダクションにスカウトされてアイドルになっちゃった系女子。二十歳過ぎなのにきゃぴきゃぴな演技を求められ常に羞恥と戦い続けている。
シャンクス→主犯。お嬢さんの所属芸能プロの社長にして一番のファン、仕事をサボってお嬢さんのライブに繰り出している。身分を隠している為か一般人には『物凄いファンのオッサン』と認識されている。そのファンっぷりから『おシャンさん』と他のファンからは敬われている、とかどうとか。
因みに社長の意向はお嬢さんドラマとかさせない(手を繋ぐとかラブシーンあるじゃんか、アレ、ダメ、ゼッタイ)


◎嫁の水着選びたいミンゴ

  ビキニは確定だ。プライベートビーチの手配も既に終え後は来る日を待つばかり。待つばかりであるのに肝心な、そして最も重要な案件が、その進展が全く無かった。由々しき事態だ、ジーザス！と言わんばかりの大男はワザとらしく、そして恭しく、目の前……クローゼットに適当に引っ掛けた二着を眺めたのであった。
 その佇まいは礼拝堂で祈りを捧げる信徒のよう……しかして後光でも見えているかの如く仰ぎ見るのは、水着であった。
  みずぎ
  MIZUGI
  水着である。
  正確に言えば嫁の水着である。一見……どころか、何処からどう見ても男の姿は実に残念な人間そのままであった。教本にあるような『ママーあのおじさんなにしてるのー？』『しっ、見ちゃいけません！』案件であった。
「……お嬢さんの主張は聞かないのか？」
  神父が後ろで唸り声じみたものを漏らしていた。いや神父ではないヴェルゴだ。
「お嬢チャンから言質を取った。『ドフィが選んでくれたのを着るね』と！」
  あの恥ずかしがり屋さんが、おれの選んだ一着を、照れを押し込み、瞳を潤ませながら着る。なんたる僥倖、このチャンス逃してなるものか！男の主張を要約するとこんなもんであった。謀略も駆け引きもかなぐり捨てて掴み取った一大イベントである。
  水辺できゃっきゃうふふ。素晴らしきかな夏の海。
「海ゆかば……」
「それは沈むやつだ。」
  ヴェルゴの呟きを遮って大男は二枚を再び仰ぎ見る。奥ゆかしさと艶やかさの絶妙なハーモニー、パレオ。セックスシンボルたる紐ビキニ。
「おれは胃に穴があきそうだ。」
  かつての強敵と対峙した時もこんな声音だったな、とヴェルゴは薄らぼんやり思い出してさっさと部屋から退出したのであった。
  どうせ両方着せるとかそんな答えを出すに決まってる。それどころか後二、三着追加されてるに決まってる。この食べカスのマフィンを賭けてもいい。