Koneta! | ナノ
ベック詰め合わせ

◎いつもと違う呼び方されたらムラっとするよね。

「…あれ、何してるんだ…?」
  木陰でいちゃいちゃと肩寄せ合ってるのは我らが副船長殿と、副船長の一番可愛いお嬢さんじゃあないか。
  赤髪の大頭はどうしたどうしたと人懐っこさ全開で傍に行けばサクッと端的に『文法の練習だ』と返された。
「今だけはこいつの家庭教師をさせてもらってる。」
「はい、今日の私はベック先生の生徒なんですよー。」
「教師と…生徒……」
「別にやましい事なんて何もしてないぞ。勘繰りすぎじゃあないかお頭。」
「え、だっておまえそういうの好きだ「お頭?」
「おう。」
  あれかそういうプレイか、と言いかけて、ギリギリ止める。
  茶々を入れたその日にゃ止められるのは自分の息の根の方だ。このラムを賭けてもいい。あの目はそう語っていた、間違いない。
「で、今のもう一度言ってくれないか?」
「生徒?」
「その前。」
「ベック先生?」
「もう一回。」
「はいっ、ベックせんせいっ。」
  やっぱりそういうプレイじゃあないか。
  いや今のは素直で可愛かった、うん、可愛かったぞ。だから副船長殿、その獲物を狙う獣みたいな顔なんとかしろ教師の顔じゃねぇぞ。



◎ベックマンが甘える(たぶんとても疲れてた)

  珍しくベックがお寝坊をしていた。私としてはもう少し寝かせてあげたいのだけれど、今日は仕事がいっぱいだ明日おれが駄々をこねても叩き起こしてくれ、と当の本人にお願いされてしまっている。
  毛布の山を揺らせばくぐもった声。
「そろそろ起きる?朝だよー…?」
「おまえがコーヒー淹れてくれるなら…」
「はぁい、了解ですよ。」
「着替えも手伝ってくれたら…」
「ふふっ、はいはい。」
「……」
「ベックもしかして寝ぼけてる?」
「さぁ…な!」
「わわっ?!」
  毛布の山に引き込まれたら……これはもうお寝坊確定じゃないでしょうか副船長さん……
「とびっきりの口付けを賜ったら起きるさ。たぶんな。」
「もう…!」

二度寝確定コース入りました。


◎間違えられた奥さん

「すいません、この西瓜ひとたまくださいな。」
「ハイ毎度!あ、でもお嬢さんこれ持てるかい?」
「荷物持ちがいるから問題は無い。……持ち易い様に箱か紐か用意してもらえるか?」
「え、だいじょうぶだよ、これくらいだったら…」
「駄目だ。」
「心配しなくても、」
「駄目だ。」
「ハハッ、お父さんは心配性だなぁ!まあこんなに小っちゃいからそうもなるか、お嬢ちゃん幾つだい?あ、そうだそうだ15歳までならそこのカフェでオマケがもらえるぞ。」
「…あー、そのー…」
「ん?」
「失礼だが主人、第一にこのお嬢さんはまず子供じゃない。」
「…お…っとぁ、こいつは悪い悪い!」
「第二に、おれは父親になる予定はあるが、こちらの『お嬢さんの父親』じゃない。」
「うん?」
「まとめよう。彼女は成人している、おれの妻だ。そして今は産婦人科の帰りだ。」
「…いたいけな女の子に手を出した…?」
「違う。」
「ロリコンじゃ、ない?」
「違う。断じて違う。」

似たようなやり取りこれでもう四回目。


◎娘と静かな戦い
「一つ確認しましょうかお父さん。」
「……」
「今日のお母さんの予定は私とお買い物、だったはずよ?」
「ああ、母さんから聞いてる。」
「情報はすでに伝達済み。なのにどうして急にデートに行こうってお母さん口説いていらっしゃるのかしら?」
「最近仕事が立て込んでたのは知っているだろう。…ポッと休みが出来たんだ。わかってくれ。」
「スケジュールを乱す殿方は三流だって教えていただいたんですけれど?あれはどちら様だったかしら?」
「ものは柔軟に考えるべきだとは思わないか小さなレディ、何事も体験してみるものだ。」
「不測の事態に対応するのは慣れっこよ。不必要な訓練は時間の無駄だと思うわ。正に今のこの状態とか。」
「同意だ。なのでこうしよう、夕飯の時間には何とか間に合わせよう、7時までにおれらは帰るからおまえはその後母さんと一緒に過ごすといい。」
「あたかも妥協しました、っていう口振りはどうかと思うわ…。そも帰ったとしてもお母さんの体力切れてる可能性も無きにしも非ず。そも、元々の私の予定を完全に爆発四散させてるわ。それについて一言どうぞ。」
「だからそれは……」


「三人で出かければいいと思うんだが」(談:通りがかりの大頭)


◎もだえる〜二人でお買い物再び〜

「……なァヤソップ君、あの副船長はどうして天を仰いでるのかな?」
「それはね大頭、歳下の恋人がとっても可愛い事やらかしちゃったんだ、副船長の脳髄にダイレクトアタックしちゃったんだよ。」
「ほーん、そうなのかー。で、あのお嬢さんは何をやったんだい?」
「ケーキ屋さんでケーキを選ぶ時にね、小さな声で『どーちーらにしよーうかなー』って呟いてたんだって。」
「簡単に想像できるなぁ、きっと嬉しそうににこにこしてたんだろうなァ。」
「うん、副船長が言うにはね、『連れてきてくれてありがとう』ふにゃっと笑ったんだって。可愛いの暴力にアッパーカット食らった気分だったって。」
「そうかぁ、リア充だなぁ。」
「そうだねぇ、リア充だねぇ。」
「……」
「……」
「「茶化しにいこーーーぜ!!!」」

「……嫌な予感がする……」
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -