Koneta! | ナノ
「腹減ったなァ……」
「え?何か作ろっか?」

 石英が多く含まれているのだろうか、白い土の島の一角でポツリ呟いた青年は目の前で小首をかしげる彼女を眺めていたのだった。先ほどまで手袋をはめたまま器用に書類を捲っていたのだがいつの間にか手は止まり、彼女の名前を呼ぶ。
 今日は二人で書類の整頓だ、角部屋の書庫は静かで彼の声だけが面白いくらいによく響く。

「半分独り言みたいなもんだったんだ。」
「そうなの?あ、でも簡単なものでよければ作れるよ。」

 食べ盛りの青年なのをよく知っている彼女は抱えていた紙束を机に置いて、ぐぐんと背伸びをする。キリもいいし根を詰めるのもよくないだろう、そろそろ休憩を取るのも悪くない。

「休憩も兼ねまして。……そうだなぁ、林檎があった筈、焼きリンゴかリンゴチップスかな。サボはどっちが食べたい?」
「……じゃあ焼きリンゴ。」
「はぁい。ちょっと待っててね。」
「や。おれも一緒に行く。」

 「手伝うよ。」と彼女の真似でもしたつもりか、ぐぐんと背伸びをしてサボは椅子から立ち上がるのだ。頭ひとつ分よりまだ低い位置にあるつむじを横目で眺めるのだった。

「ほんとに食べたいのはもっと別のなんだけどね。」
「?」
「おれどっちかっていうと肉食だし。」
「……お肉は夕ご飯まで待ってて?」
「わかってる。」

 きみはわかってないみたいだけど、とは言わずににこりと笑ったのはまだ牙を見せていない肉食獣であった。

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