世界のためだとあなたは言った。
幸せにするためだと彼は言った。
(お願い、思い出さないで)
あなたが大切なのはあのひとだけなの。
だってほら。
とても哀しそう、だもの。
(兄さんは鈍いから気付いてないんだろうけど)
ほら、また。
(兄さんぼくはね。偽物だって、かまわないんだ)
創り出された記憶。
忘れた記憶。
夢のようだとぼくは思った。
悪い夢だとあなたは泣いて。
でもね、
でももう大丈夫だよ。
あなたの夢は叶うもの。
ぼくが守ってあげるから。
あなたも、彼女も。
だからもう、ね?
(ぼくのことは忘れてしまって)
だからもう、
泣かないで