十二月。師走。臘月。
この時期になると目が眩むほど眩しいイルミネーションが街中を照らす。ああ、もうそんな時期なのかと僕はうんざりと空を見上げる。イルミネーションのおかげで空に浮かぶ星達がぼんやりと薄く見えた。
ああもったいないな、なんて君は小さく笑うのだろうね。
「あ、サンタ」
あの頃は毎年、この時期になると手作りのケーキを中心に、豪華な料理がテーブルの上を埋めつくしてしまって。どこからそんな料理を持って来たのだろうかと、君は小さく笑う。会長マジックだよねと言うと君はまた小さく笑った。
未成年だからノンアルコールのシャンパンしか飲めないのよねつまんなーい、なんて溜息をつく会長に苦笑する君。あ、そんな表情も可愛いかもなんて思う僕を無視して、はいどうぞと君はグラスにこぽりとシャンパンを注ぐ。その時の会長の顔、普通の女の子の表情で僕は(うらやましいな)なんて、少し思っていたりもしたんだよ。
頬を薔薇色に染めて、ありがとうだなんて僕もそんな風に恋心を語ってみたいものだった。
ルルーシュの馬鹿。
今更こんなこと君に言っても仕方ないのだろうけれど、ルルーシュの馬鹿。
でも鈍感過ぎる君も好きだよ。バースデーパーティー後に、こそっとそう呟いてみたけれど君はいつも知らんぷりさ。ううんでもね、君の耳は少しピンク色に染まっていたから僕は、うん、それだけで充分だった。
充分だったんだよあの頃は。
あの頃はね、少しすれ違ってしまっても、少し喧嘩してしまっても僕は君の傍に、君は僕の傍にいつも在るのだとそう子供みたいに祈っていたけれど願っていたけれど僕は君のためだけの騎士で在るのだと誓っていたのだけれど、誓いも願いも祈りも簡単に千切れてしまって、ああ本当に僕は馬鹿だと僕自身を責めるしか術はなくて。
ねえ、ルルーシュ。
君は今何をしているの。君は何処にいるの。今日はね、一日中君のことだけを考えているんだ。ううん、あの時も今までもこれからもずっと君のことだけを想っているんだよ。
バースデーケーキだっていつもより沢山の苺をのせてあげる。きっと苺と年齢分のろうそくでケーキが見えなくなるんだろうね。
美味しい料理だって用意してあげる。愛してる大好きだよって僕からキスを贈ってあげる。
「好きだよルルーシュ。大好きだよ」
僕は変わらず、ずっと君だけが愛おしいんだよ。
「…好きなんだよ、ルルーシュ」
ねえ、ルルーシュ。
傍にいない君に大好きだよなんて僕は馬鹿みたいじゃないか。ただ愁しいだけじゃないか。ああこんなに好きなのに愛しているのに傍にいたいのに何故、こんなにも心臓の奥は悲鳴を上げて痛みに苦しんでいるのだろうか。
答えを持っているのは君だよ、ルルーシュ。
「…ルルーシュ誕生日おめでとう。ルルーシュ好きだよ愛してる。僕もそっちに連れて行って」
君をころしたのは僕。僕をころすのは君。
僕に罪と罰と、
愛をちょうだい
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20091209
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