ある日いなくなったあの子はこの世界の中で僕の一番大切な子だった。

あの子の為ならば僕は命を差し出す事も出来るんだよ、と神様に告げた。

いるのかいないの分からない神様は僕の言葉に応える事はなく、何事もない様に世界を眺めているのだ。

僕を嘲笑うでもなく、あの子の未来を補修するわけでもなく、ただひたすら僕らの世界をじっと静かに眺めているのだ。

愚かな僕に罰を与える事もなく、ただただ僕が罪を重ねていくのを見ているだけなのだ。



誰もが僕を止めようとはしない。

(ああ、そうか。これが僕に与えられた罰なのか)




ああ、心臓が腐って逝く音が聞こえる

(バイバイ僕。さよなら神様)



さようならいとしい人。








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